浜松のスタバへ、ななこに会いにいった。
バイト中のななこもすてきだ。きらきらの笑顔に見とれてしまうよ、本当に。
ドリンクを渡す時に、
「ちょっと待って」とななこ。
何かと思ったら紙コップに似顔絵を描いてくれたんだよね。とってもうれしかった!
全然似てないけど笑
ちょうど外が暗くなる時分、窓の外でライトアップされた浜松城が浮かび上がる。あとでお城を見にいこう。抹茶ラテを飲み終わったら。
いいなぁ。お城のそばのスタバで私も働きたい!
とってもうらやましかった。ななこみたいになれたらいいのになってずーっと憧れていたんだよよね、実は。
手話で話せるようになりたい。きちんと自分の意見を言えるようになりたい。
ななこの全てに嫉妬していたんだ。ユーモアたっぷりな上に、現実をまっすぐ見透かすような文章にも。夢を描いてそれを追いかける姿にも。強くてやさしい心にも。
いつもいつも、私は他の誰かになりたかった。
小さい頃は幼地味の友達に、大きくなるといつも明るくてすてきなお姉さんに憧れた。ロシアでのルームメイトにも、私は嫉妬してしまう。
聞こえないことがいやで聴者として生きたかった。手話で満足に話せない自分がいやでろうとして育ちたかった、なんて言ってさ。
自分じゃなくて、他の誰かになりたいと願ってた。
でも今はそうでもないかな。
朝早起きしてバイトに行くのを気に入ってる。
コンビニのバイト。それは他の誰かに簡単に取って代わられるようなことかもしれない。でも他の誰にも、私の人生をゆずる気はないよ。
たとえ、「はちまきの人生を代わりに生きてあげよう」という人が登場したとしてもノーサンキューだ。
誰にも真似できないはちまきの人生を、私は生きるんだ。
あたたかな抹茶ラテを飲んでいるうちに、嫉妬心はいつのまにかとけて消えた。
外は寒くなかった。散歩するにはちょうどいいくらい。
浜松城は小高い土地にそびえている。建てられた当初からどっしりそこにかまえていて、いつの時代も人々が暮らす街を見守ってきた。そんな感じがした。
初めて歩く浜松の街。ななこが暮らしているというだけで、そこは私にとって特別になる。
ぬくもりある、オレンジがかった色の灯りが通りをふちどる。城下町らしい、にぎわい。
意外と都会だったことに驚いた。
ななこの描いてくれたはちまきの絵がこんなにもうれしいのはきっと、世界にひとつきりのものだからなんだね。誰にも真似できないはちまきの絵を、ななこはプレゼントしてくれた。
すてき!わたしも今度ななこちゃんのスタバに行きます。たのしみ。
僕もななこちゃんになりたいです!
なになに、ラブレターかな!うれしいうれしい
えっ!へんな嫉妬レター書いてごめん笑
また今度ちゃんと書くね、ラブレター