4分の3、読み進めたところで一旦本を閉じた。閉じた瞼の隙間からじわじわ涙が出てきた。
決して悲しい話なんかじゃない。悲しい気持ちになるような本なら他にいくらでも知っている。
悲しいのではなくて、切ないような気持ちだ。
美しいものを見た時の感動はきっとこんな感じなのではないかと思った。ただ物語を読んだだけなのに、実際に絵を見ていたような気がする。
でもおかしいな。
美しい絵ってどんなものだろう。泣けるくらい感動するような絵って?
見たこともない絵を、見たような気になって泣けてくるのだからおかしいよね。
なんだろう、この切ない気持ちは?
とりあえず、読み終わってから考えよう。 “砥上裕將『線は、僕を描く』” の続きを読む
一本の毛、魚の骨
小学校3年生の頃の、忘れられない記憶がある。 “一本の毛、魚の骨” の続きを読む
孫から孫へ
僕の祖母は大変几帳面な人だった。 “孫から孫へ” の続きを読む
西加奈子『サラバ!』
この本を一言で表すなら「幅広い」。 “西加奈子『サラバ!』” の続きを読む
料理が嫌になった時は初心に返れ
ごぼうをささがきにするのが好きだ。
皮を削いだら右手でごぼうを、左手で包丁を握る。下には水を張ったボウル。変色防止のためほんの少し酢を垂らしてある。
それから、先端に刃を当てた。鉛筆を削るみたいにクルクル回しながら尖らせていく。 “料理が嫌になった時は初心に返れ” の続きを読む
地面
もしも人間が存在しなかったら、今この地面はどんな感じなのだろう。子どもの頃よくそんなことを考えた。
そしてこの、どうしようもない暑さをアスファルトのせいにした。 “地面” の続きを読む
何か探している
まず蜘蛛の巣を取り除かなければならない。トタン屋根の下、細い銀の糸を見逃さないように薄暗がりに目を凝らす。
かつては毎日通勤で乗っていた自転車は、今や2週間に一度、図書館を往復するのみ。ちょっと乗らない間に蜘蛛は巣を張る。絵に描いてやりたくなるほどに立派なやつを。 “何か探している” の続きを読む
カッコいい人を見た時に考えること
「カッコいい」は特別な感じがする。「かわいい」や「美しい」が運とか才能に左右されるとしても、カッコいい生き方を目指すのは誰にでもできるはずだ。 “カッコいい人を見た時に考えること” の続きを読む
死んだらどうなる?
「またレモンに会いに行かなきゃ」と私が言うと、妹は頷いた。「うん、そのうち死んじゃう」
そんなこと言わないでよ。 “死んだらどうなる?” の続きを読む
メイド喫茶に行く。「右利きですか?左利きですか?」
It was my first experience to visit a maid cafe. A girl in a white apron led my sister and I to a table. We sat there and ordered two sandwiches and a pot of tea “Uva Highland”. “メイド喫茶に行く。「右利きですか?左利きですか?」” の続きを読む