大学に向かう道すがら、アブがブンブン飛んでいるのを見た。黒い体に黄色い頭。透明な羽を震わせて空中に静止している。
ハリーポッターのスニッチにそっくりだ。手を伸ばしたらつかめそう…。
もちろん、現実にはそんな危ない真似はしない。想像のスニッチをつかめるのは心の中だけだ。
ここは禁じられた森。あれが大イカの住む池。そして、そびえ立つホグワーツ城。ちょうど先生の研究室らへんがグリフィンドール塔になっている……。
大学まで歩く間、私は想像の世界を楽しんだ。
大イカにサンドイッチをあげた。
子どもの頃はよくこうやって遊んでいたんだよね。いつからだろう、想像の世界へ自由に飛び立てなくなってしまったのは。
ハナアブのスニッチが、私に子どもだった心を思い出させてくれた。