昨日、ななことふたりでごはんを食べに行った。ななこと築くふたりの空間は初めてだった。
トリの唐揚げ定食を食べながら、ななこはある言葉を教えてくれた。
「会話は誤解の連続」
物事を言葉で表そうとする時、言葉に合わせて意味は小さく切り取られる。さらに、言葉を受け取る側も話し手と同じように言葉を理解しているとは限らない。
言葉に当てはめ、言葉を発し、言葉を受け取る。その過程で多くの部分が失われている。
思ったまんまを言葉にするのは不可能だし、言葉を正確に受け取るのも難しい。
だから、「会話は誤解の連続」なんだ。
「『なぜこの企業を希望したのですか?』みたいに、面接ではみんな理由を聞きたがるよね。答えを言えないでいると低く評価されてしまう。でも、言葉で表せる理由が全てではない。」
ということを、ななこは話してくれた。
なるほど。
「なぜロシアに留学したの?」
「どうして先生になりたいと思ったの?」
みんな理由を聞きたがる。それに対して私は自分の中で答えを用意する。
それらしい言葉を見つけては、それが「本当だ」と満足していたけど、そんなわけなかった。
言葉からこぼれ落ちるものの存在を、私はななこに言われるまで気づかないでいた。そもそも正確に言い表せるわけなんかないんだ。
自分ではわかっていない理由もあるだろう。言葉にはできなくても隠れた理由が存在しているかもしれない。
言葉から零れ落ちるものこそを大切にしたいよね。
なんとなく。
という答えが許されるのならそう答えたいな。それが一番本当な気がする。
ところで、
ななこは優しい。
私にはうまく説明できないけど、ななこは優しいと思う。なんとなく。
そんな理由じゃ納得してくれない?
ちゃんとトリを半角にしてくれるちまきちゃんが好きだよ。なんとなくね。