ストレイ・シープ

いい天気ですね。

こんな日はバスの窓際に座って、太陽の光を浴びながら夏目漱石『三四郎』を読むと気持ちがいいです。
と言いたいところですが、隣の人に「カーテン閉めてください」って言われてしまいました。とほほ。

三四郎といえば、三四郎と美禰子の焦れったいラブロマンスです。

ーーー以下、要約ーーー

三四郎は、美禰子ちゃんと話し込んでいるうちにグループメイトとはぐれてしまう。
「迷える子(ストレイ・シープ)ーー解って?」
と、訳ありっぽいミステリアスなことをいきなり言う。
そして、なんと美禰子ちゃんにフィアンセがいることが判明。
(どっからどう見ても、三四郎と美禰子ちゃんは両想いだというのに!)
それからというものの、美禰子ちゃんは羊が二匹描かれたハガキを送ったり、いろんな伏線を一生懸命ばらまくが、三四郎はなかなか拾わず。
そして、そのまま美禰子ちゃんはフィアンセと結婚しておしまい。

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文章にしてみたら、面白さが半減どころか1/5ぐらいになってしまいました。夏目漱石に謝罪を申し上げたいです。月が綺麗だね。

で、なにが言いたいかっていうと、美禰子ちゃんは「三四郎も東京でなにしたらいいか戸惑ってるし、あたいも本当にフィアンセと結婚していいのか迷ってるし、まさしく迷える子羊のようだね。」っていう意味合いでストレイシープ言ってるんだけど(多分)、三四郎には「うん!迷子だね!」「ああ!僕たち2人のことだったんだねえ!(納得)」と、なかなか伝わらなかったのです。なんででしょう。
この焦れったさがイイんだけどね!

さて、ちょっと話が脱線します。

まず一度、トップの画像をスクロールして見てください。これは静岡県にある鍾乳洞で、ひときわ存在感を放っていた鍾乳石です。

わたしには、[ぽってりとした頬をもつ少女が、頬杖をしながらこっちを見ている]ように見えます。

しかし、一緒にいた友人は[かわいらしいフォルムをした恐竜が泉の方を見ている]ように見えたそうです。

で、お互いにお互いが見えている形を理解しようと鍾乳石の前で数十分間も教えあいましたが、まったくわかりませんでした。

言葉もそうです。
同じ「魚」でも、思い浮かべる魚はみなさんそれぞれ違うんでしょうねえ。私はサバを想像します。

このとき、わたしは『自由意志のなさ』を実感しました。
誰かが「死ぬまで不自由、死ねば自由」みたいなことを言っていたなあ、と思い出したのです。

言葉が100%正確に相手に伝わることなんて、ありえないのだけど、忘れがちだったなあ。

で、話を戻します。
三四郎を読んでいて、もし「迷える子」というセリフを美禰子ちゃんが手話でしていたなら。
わたしなら、「道がわからない/羊/私たち/2人」の手話を組み合わせて表現します。

あれ、手話ってすごくない?
抽象的なアバウトな言葉に、視覚的な情報が加わってすごくわかりやすいかもしれない。

いいことに気づいちゃったなあ。 

“ストレイ・シープ” への3件の返信

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