ななこへのラブレター

ななこはとても不思議な色の目をしている。
片方は明るい茶色、もう一方はブルー。初めて見たときは珍しくて、カラコンなのかと聞いてしまった。

ろう学校の子たちを見ていると青い目はそんなに珍しくないと気づく。ちらほらと青い目を見かける。片目だけの場合もあれば、両目とも青の子もいる。
耳が聞こえないことと、目の色は何か関係があるのだろうか。

ロシアにいた時はありとあらゆる色の目に出会った。淡い青、濃い青、グリーン、バイオレット、ブラウン、グレー。
それらの目は、カールされたまつげや、日本ではあまりお目にかかれない形のまぶたに縁取られていた。
いろんな色の瞳を私はしげしげと覗き込んだものだった。もちろん失礼のないようにと気をつけてはいたけどね。

日本人ほど目を合わせることに抵抗がないようだった。私の視線は大抵いつも、真っ直ぐに受け止められた。
その証拠に、ロシア人の先生の淡いグリーンの瞳が記憶にしっかりと残っている。なんともすてきな形のまぶたをしていて、先生がまばたきする瞬間を私は観察するのが好きだった。

留学を終え、1年ぶりに日本に帰国した時はものすごい違和感に襲われたのを覚えている。
道ですれ違うのは、黒い髪に黒い目の人ばかり。そのたびに私は振り向いてしまう。ひょっとして、知っている誰かじゃないだろうか。誰も彼もが似通って見えた。

ななこほど印象的な目の人はいない。
あまりに真っ直ぐに見つめられるから、自分の全てを見透かされてしまいそうでドキドキする。かと思えば、不意に笑顔になる瞬間。
ああこの人にも、私と同じように迷いもあればためらいもある。だからこんなにも優しい顔で笑うことができるんだろうな。

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