歩きながら考える。お正月何しよう?
本を読もう。天気が良ければ山登りに行こう。それから、小説の続きを書き始めよう。
もう本は借りた。子どもの頃の私が好きそうな本。
登る山の目星はついている。「本宮山がおすすめだよ」と教えてもらった。
頭の中ではもこもこと小説が続いていく。「Когда ожидать следующую часть?」「次も楽しみにしているよ」
誰かに会いたくないわけではないけれど、いったい誰に会えばいいのだろう。
他の人と一緒にいることに、あまり慣れていない。そのくせ自分ひとりでは、何もできない。
本を読む。山登りに行く。小説の続きを書く。それら全ての行動は、背後に誰かの後押しがある。いつだってきっかけをくれるのは周りにいる人たちだ。昔の自分だ。
昔、私は考えたことがある。私は周りの人から光を吸い取って生きているんだ、と。
自分の暗さが嫌だった。場を明るくすることができなかった。ネガティブなことばかり考えてしまう。話している相手はだんだん言葉をなくしていく。
今だってそう変わりないかもしれない。どれだけ仲良くなっても、ひとりでいる時間も必要だと感じる。誰かと一緒にいると眩しくて、自分のことがよく見えなくなる。
誰もいない夜道を私は歩く。歩いている間は寒くない。マフラーを一目一目編んでいくように、一心不乱に次を踏み出す。
なぜ恋人が欲しいなんて思ったのだろう。寂しいから、一緒にいて欲しかった?立ち止まったら寂しさに追いつかれてしまいそうで、ひたすら歩き続ける。
頭上で星が瞬いている。オリオン座を見つけた。
月のない夜、星は一層明るい。オリオン星雲まで見える。
ひとりでいるのが好き?そうかも。
でもひとりでは暗すぎて何も見えない。何をしたらいいのかわからなくなってしまう。
「もっと友達と会った方がいいよ」
その言葉が私の背中を押す。少しでも寂しさのない方へと押してくれたのがわかった。
風が私の目から涙をいくつかさらっていった。
髪の毛くしゃくしゃだな。後で結び直しておかないと、と思う。