–青年達は夏休みが枯渇してしまったらしい。
僕らの夏休みは去年で死んだ
チャリを漕いでは夏を追った
ひまわりは咲き乱れ蟬時雨の中
額から落ちる青春の証
夜の楽しみを僕らはまだ知らない
麦わら帽子と虫取りの網
命を捕まえては飼い散らかす遊び
暗闇を照らすは蛍の火
僕らをあざ笑うは夜の王
夜の王が僕らを見てる
食われる前に帰らなきゃ
夜の王は遥か遠く向こう
黄色い片目で世界を見下してる
銀のラベルから覗く麒麟が
僕の乾いた喉を駆け抜けていくし
お菓子のシガレットはとうとう
煙を出すようになった
六畳一間でひとりぼっち
夜の王が覗くんだ
黄色いその片目で僕を覗くんだ
夜の王の片目は綺麗な丸だった
空き缶と吸い殻を今日も出す
命を散らかしては得るドーパミン
大卒というくだらない肩書きを得て
僕らの夏休みは去年で死んだ