[23歳の夏休み]

 

 

 

–青年達は夏休みが枯渇してしまったらしい。

 

 

 

僕らの夏休みは去年で死んだ

チャリを漕いでは夏を追った

ひまわりは咲き乱れ蟬時雨の中

額から落ちる青春の証

夜の楽しみを僕らはまだ知らない

麦わら帽子と虫取りの網

命を捕まえては飼い散らかす遊び

暗闇を照らすは蛍の火

僕らをあざ笑うは夜の王

夜の王が僕らを見てる

食われる前に帰らなきゃ

夜の王は遥か遠く向こう

黄色い片目で世界を見下してる

 

銀のラベルから覗く麒麟が

僕の乾いた喉を駆け抜けていくし

お菓子のシガレットはとうとう

煙を出すようになった

六畳一間でひとりぼっち

夜の王が覗くんだ

黄色いその片目で僕を覗くんだ

夜の王の片目は綺麗な丸だった

空き缶と吸い殻を今日も出す

命を散らかしては得るドーパミン

大卒というくだらない肩書きを得て

僕らの夏休みは去年で死んだ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。