[咲き誇り誉れの花よ]

 

 

 

 

 

 

–これは中途半端な異端者の嘆きだ。

 

 

 

 

「中途半端な色は嫌いなの」君はそっぽ向いてお酒をあおる

赤と白の二つ巴がぐるぐるりまわりまわってやがて中途半端な色に

染め初めし花びら舞う人を甘やかし怠惰させる優しいそよ風は

多くを白く殺めた無の大地に穏やかな色をつけていくの

 

「さようなら」言い飽きて涙腺も乾くそして花屋は儲かって

愛され祝福されるべき人の手に収まる首を切られた彩りの顔は

涙を流すか?ただ枯れてくのを待つ定め飾り紐に吊るされた あなた

死装束を着させましょう半透明な薄い鮮やかな色で帯は何色がいい?

 

濁った茶色に囲まれて閉じ込められた鮭は渓流登りすら叶わず

取り残され数年は経ったある日のこと空に皆既月食が起こって

巡り巡った機会をそして茶色は粉々に鳴って崩れて鮭は宙を舞う

 

「木に宿ってるらしいの」「なにが」「かみさまが」「そんな馬鹿か」

愚民の歌声を長年聞き飽きたかみさまの頭が中途半端な色に染まる時期

足に酒を撒かれ愛され祝福される人のために腕を折られ多くの視姦受けて

「始まり」と勝手に作られた風潮を祀りあげるものに祟りあれ

 

「きみらのためにぼくがここにあるわけじゃないから」

中途半端を許さない世間そして異端者を排除する社会そしてきみらも

彩り撮られ慣れた花は所詮切り取られ監禁され枯れる定めだって

ぼくも所詮花と同じ道を辿る他無いの生まれた所に戻れない鮭のように

 

だってだってだってだってぼくはきみらが嫌う中途半端な異端者だから

 

さようなら、咲き誇り誉れの花よ

最期は埃まみれのようで

 

 

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