父と話そうと頑張ったけど、機嫌をそこねちゃった。
そこまで怒ることないのに。
どすどすと足音荒く階段を踏みならして父が去った後、私の目から涙が溢れてきた。
なに泣いてるの。
悲しい。いや、違う。
猛烈にくやしい。
言い返したかったのに、言えなかった。
言って何になる?さらに怒らせるだけだ。
くやしい。
後で私は母にぶちまけた。母は静かに私の話に耳を傾けてくれた。
「くそったれ」
なんて言葉を私は初めて使ったかもしれない。
「なんで人の機嫌をうかがいながら生きていかなきゃいけないの?」
「自分の意見を言っただけなのに、なにが間違ってるの?」
指が震えてうまくキーボードを打てない。
「何もできなくてごめんね」
と母は謝る。
別に母が悪いわけではないのに。何もできないのは私の方だ。
こんな風に陰でこそこそ言ってないで、面と向かってものを言えばいいのに。
そんな自分がすごくいや。意気地なし。臆病者。
私は悪くない。
心の中で言う。すると涙が溢れてくる。
私が悪いのなら、素直に非を認める。でも私は悪くない。納得いかない。
「気をつけろよ」
ぶつかってこられたみたいな言い方を父はする。
なにをどう気をつけたらいいわけ?
知るかよ、って感じ。
百歩譲って私の言い方が悪かったことは認める。
知らないうちに傷つけるような言い方をしてた?
もっと上手く伝えられたら、違っていた?
そうだとしても、黙っていればよかったなんて、絶対に間違ってる。
どうやって話したらよかったんだろうか。