Qibla

Qiblaって知ってる?
ある時泊まったホテルの部屋で、アラビア語のついたサインを見かけた。ムスリムが礼拝するときの方角を指し示す目印。

旅先でも礼拝を怠らないムスリムたち。
中にはメッカを一度も訪れたことがない人もいるのだろうか。それでも毎日同じ方角に向かって祈っている。

方角を見極めるのには目印が必要だ。渡り鳥だって星を見て行き先を知るという。
北はどっち?
まず私は太陽の位置を確認する。あっちに太陽が出ていて、ちょうど今正午ということは、反対側のこっちが北だ。
自分の家にいる時なら感覚でわかる。
「東のおばさん」と呼ばれる人が住むお隣の方から朝日が昇る。南に面した窓のそばでいつも犬が昼寝する。夕日が差し込んでくるのはいつも左方向から。つまり私は北を向いて立っている。

Qiblaの矢印は正確に指し示す。まっすぐ向こう、その先にメッカがある。
なんだか私も、Quiblaが欲しい気持ちになった。メッカじゃなくてクラスノヤルスクのね。
さてクラスノはどっちだろう。北と西の間にざっくり見当をつけてみる。
私にはお祈りをする習慣はない。けれども、信じている。この先4千キロメートル向こうに、懐かしいあの街が確かに存在しているんだ。

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