次、雨が降った時はバスに乗ろう

雨上がりの森の中をジョギングした。涼しい。

芝生の上に何かいる。近づくにつれて、オレンジ色の猫が背中を丸めているのだとわかった。
ゆるやかに速度を落とし、猫の脇を通り過ぎる。
少し行ってから振り返った時、私の目に夕焼けが映った。メタセコイアの木の向こう、雲の間にオレンジの光がはさまっている。

向こうの方で誰かがスマホを空に向けていた。私も写真を撮りたかったけど、残念ながらスマホを置いてきちゃった。
少しの間立ち止まって、雲の上で光が色を変えていくのを眺める。

メタセコイアの葉の緑、夕日のオレンジ。
芝生の緑、猫の毛のオレンジ。
絵に描きたくなるね。

雨が上がるって、なんてすてきなことだろう。
でもほんのちょっと残念だ。雨が降っていたらバスに乗ろうと決めていたから。
「歩いてきたんですか?バスに乗ったら楽ですよ」
そうやって気にかけてくれる人がいるのが、私はうれしかったんだ。
また次、雨が降った時はバスに乗ろう。トトロが出てきそうなバス停で、1時間に2本のバスを待とう。

放っておくと、私はストイックに自分を追い詰めてしまうタイプだ。暇さえあればジョギングに出かけ、試験勉強の問題集を開く。怠けるのを忘れてしまう。

芝生で丸くなっている1匹の猫は、私に立ち止まることを思い出させてくれた。

「しっかり生きないと」というプレッシャーが、「しっかり生きている」という自信に変わっていく。だんだん、余裕を持てるようになる。
常に歩き続けていなくても、大丈夫なんだ。
空の広さに初めて気づいた人みたいに、私の心の中に開放感が広がった。

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