初売りのはなし

ちゃんと「完成」させなくちゃと文章を練るのがこわいので、もうそのまま書いていこうと思います。

年明け恒例の初売りに行った。

電車で乗り合わせたおばさまがわたしのお気に入りのベレー帽とイヤリングをひとしきり褒めてくれた後「でもお化粧では眉をもう少し下げた方がいいわよ」とアドバイスして去っていった。ありがとう、善処します。
それにしてもデパートのアパレル店員さんはすごいよね。あの華奢な体のどこから出ているのか、体感100dBくらいの音量で「ご試着番号札15番の方ぁー!!!!!!」だとか「福袋大変お求めやすくなっております!!!!!!」だとか「試着室前スタッフ誰もいないよ〜!」だとか声を張り上げている。もう戦いだ。わたしがデパートのアパレル店員などやった暁には毎日怒鳴られっぱなしだろうなと勝手に想像して勝手に肩身をせまくしてしまう。そういうのってない?掛け声の激しい居酒屋と初売りのアパレルコーナー行くと「私だったらめっちゃ怒られる」と思って緊張しちゃう。
デパートの飲食店はどこも20人待ちとかで、なんだか病院の予防接種待ちの列みたいだった。諦めてデパートを離脱して、激混みの大須でもお昼ご飯を食べられるひなびた喫茶店と素敵な古着屋を探しながらアーケード街の路地裏を歩くこと数時間、ふと見かけた看板が目について雑居ビルに足を踏み入れた。
ここがもうすごいんだよ。足の踏み場もないくらいにおもちゃが並んでいる。
店主らしきおじさんが「香港?日本人?」と声をかけてきて、そう私って結構よく中国人と間違えられるんだよね。なんでだろ。「日本人日本人、東京から来たんです」「よく来るの?」「帰省で年明けはよく大須歩いてます、古着が好きで」「あ〜そうかね、今着てるのもそう?」「そうそうこれは古着でこれはおばあちゃんのおさがりなんです」「いいねえ!あぁそうだそうだ、前古着好きなお客さんがね教えてくれたんだけどねこの……ちょっと待ってな…あったあったこれ、これおすすめの古着屋らしいんだわ、こないだ教えて貰ってメモしといたんだよ、写メっていきなよ」「えー!すご!ありがとうございます!あっここさっき見てきましたよ〜」(中略)「なんだァ君面白いなぁ、やっぱり音大の子かね、芸大出身は変なやつばっかなんだわ」「アハハハそれは間違いないですね」「お酒飲める?」「飲めます」「そりゃいいわ、飲み行かない?」「あ〜夜は祖母の家に帰らなきゃで……」「そうかぁ、じゃあ今から飲むかぁ」「いいんですか?お店」「いいんだよぅ!ここで飲もう、なぁタナカさんもいこう」「いや〜、いきますかぁ」
と、こんなわけで偶然入ったお店の店主さんと意気投合して飲んできた。まさか新年早々友達ができるなんて思わなかった。すごいよね。音楽、洋服、ハンガリー、映画、わたしの大好きなものたちはどこまでも素晴らしい人を繋いでくれる。

祖母宅に帰ってからスマホを見ると、ひと月ほど前にSexy Zoneにハマった友人から「わたしのセクシー元年、始まったわ」とLINEが来ていた。セクシー元年、いい年になりそう。

“初売りのはなし” への7件の返信

  1. はじめまして!ななこです。
    ゆうかさんはけっこう声をかけやすいような雰囲気がでているのかな、たった大須を歩いただけの出来事なのに、こんなに濃い1日を過ごせるなんて、それはまちがいなくあなたの才能ですね。いいなあ!

    1. はじめまして!
      仰るとおり、イヤホンで動画を見ていてもあえて肩を叩かれた道を訊かれるほどに話しかけやすい人間のようです。なめられやすい顔してるのかしら…もっと強そうになった方がいいかしら…と悩みこそすれ、良いことだと思ったことなどなかったですが、才能!素敵な表現ですね。みつけていただけてとっても嬉しいです。ありがとう!

  2. はじめまして神宮寺です。

    私もたまに中国人に間違えられるので、第2言語は中国語を選びました。

    中国語を少し話すとウケるので習い事におススメです

    1. はじめまして!
      それ、めっちゃいい動機ですね。中国語は発音が難しいイメージで語学弱者のわたしは食わず嫌いをしていましたが、挨拶程度習得しておきたくなりました。今年の抱負とかにしようかな…。

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