アパートのベランダの柵に、時々ジョウビタキという鳥がとまる。背は濃い藍色、羽の真ん中はちょんと点を打ったように白、胸から腹にかけては鮮やかなオレンジ色をしている。寒い季節にはどこにでも見られる平凡な鳥だけど、いざこうして窓の内から、ベランダで冷たい風に吹かれている彼のちっこい背中、その羽の毛の一本一本がほよほよ揺れている様なんかを見ていると、うむ、これは、どうにも可愛い。けれど流石に視線に気が付くのか、見ていると大抵はすぐにびゅんと逃げ去ってしまう。だから見ていたくても、できるだけ見ないことにしている。気付いても、出来るだけ気付かないふりをすることにしている。それはなんというか、少し前に決めた。もう決めたことだ。けどさ、とはいえね、そうすれば彼は当然、私が見ていない間にあの羽の毛をほよほよとして、私が見ていない間にうほほーいと言って飛び去る、ということになる。こんなに近くにいるのに、しかしそういうことになる。それはどうなんだろう。いや、もう自分で決めたことではあるけれど、私はやはり損をしているというような気分になる。少々難儀である。
もし君が来たならもちろん嬉しいし来なかったならそれも嬉しい
っていうのは、さっきふと思い出しただけで私の歌じゃない。調べてみたら木下竣介という人の歌らしかった。木下さん…何方か存じ上げぬ。全く知らん人のいつ出会ったかも忘れた言葉が、今日も私を私より知っている。
追記: 犬と暮らしたい。
あ、俺もなんか聞き覚えがある。綾部が詳しそうだな
こういう日常のほのぼのしたやつ好きだし、もえさんの謎の擬音みたいなやつ和む。
よき