想像力が窮地を救う

今日初めて場面指導を練習した。

まずテーマが出される。「明日は生徒の楽しみにしている野外行事があります。帰りのSTで担任としてどんな話をしますか?」

30秒考える時間があって私は椅子から立ち上がった。
「明日は火力発電所への見学に行きます。みんな楽しみにしていると思います。楽しみだよね?」

私の視線は架空の生徒を探してうろうろさまようけれど、目の前に座っているのは眼鏡をかけた白髪混じりのおじいちゃん。試験官役をしている面接指導の先生だ。
私は必死でクラスの生徒30人を思い浮かべようとする。

「楽しみな遠足ですが、気をつけておいて欲しいことが3つあります。えーっと、」

おっといかん、笑顔を忘れていたよ。私は先生に笑いかけて先を続けた。

「忘れ物しないこと。弁当水筒、ちゃんと持ってきてね。それから、うーんと、なんだったっけな…」

大学で教採試験の面接対策講座が開かれている。経験豊富な先生方が個人質問や集団討議のアドバイスをくれる。
それから、場面指導も。場面指導というのは、目の前の3人の試験官を生徒としてイメージし出されたテーマに沿って3分間指導を行う。

あああ、ひとりで一方的に喋る3分間ってつらいよ。こんなずさんな場面指導してたら落とされるな、どうしようー。

ひとりでしゃべってると思うからだよ。本物の生徒が相手なら言うべき言葉を探せる気がする。

いいかいはちまき、場面指導というのは演技みたいなものじゃないか。やるからには迫真の演技をしてみようよ。

まずはさ、頭の中に30人の生徒を思い浮かべよう。高校の時の1年1組にしようか。となると30人じゃないな、40人クラスだったよね。

私はクラスメイトの何人かの顔を思い浮かべた(全員は思い出せなかった)。

そんな感じだ、よし。先生が立っていたところに、自分が立っていると想像してみよう。

「明日は遠足だな。明治村に行くんだったよな。○○、忘れ物するんじゃないぞ。持ち物はなんだった?覚えているか?」
担任の先生の声がよみがえってくる。

あ、これならうまくいきそう。
あの子忘れ物しそうだな、とか頭に思い浮かべながら先生はしゃべっていたんだろうな。
どんなテーマを出されてもいいように今からイメトレに励もう。

教採試験が俳優のオーディション並みに演技力を求めるものなのかは知らない。でも実際の1年1組のみんなや生徒の誰かが目の前にいると想像できたら、もっとリラックスして話せそうな気がするんだ。

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