[王様と魔王の片目と僕と]

 

 

 

–今夜も少年は眠れないらしい。

 

 

 

鮮やかな天色を飾る空色鼠は

今日も浮き鳴らす

やがて王様が眠りに就き

天井は乙女の色に染まり

魔王の片目が開きはじめ

空は茜色に変わりやがて

紺鼠が活発になり

魔王は完全に片目を開く

鬱金色をした片目の下で

逃げるように彼らは眠る

だけど僕は違う僕は

鬱くしい金色に惹かれし者だから

魔王が寝て王様が起きる

その時までずっと

世界を見下す魔王の片目と

にらめっこをするんだ

 

王様も魔王も何一つ

言葉を発さないけど

誰もが知るほど

強い存在を放つんだ

それに比べて僕はどうでしょうか

誰かのための僕でいるのでしょうか?

葡萄鼠が鳴くは王様が起きる予兆

段々と魔王は片目を閉じていくんだ

紫苑色に染まりついに起きた王様

起床を見守ってから僕は眠るんだ

天井は赤紫に染まりやがて

鮮やかな天色になった

 

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