目の前に広がる海のどこにも文章は見えないのだけれど、 Calm Girlさんが書いたダーリンだということははっきりとわかった。
どうやら、海でサーフィンしている男の子の映画を撮ったことがあるらしい。
へぇ。
言葉はない。ただ海のうねりが語りかけてくるんだ。
スマホ画面の海の写真に指で触れる。波立つ青い海面はみるみるうちに広がって、私は映画の中に飲み込まれた。
そこは大海原のど真ん中。ビーチはどこにも見えない。
小学生くらいの男の子がサーフィンをしていた。なかなか上手に波にのる。
よくよく見ると少年の裸足の足元には、サーフボードではなくて小さな黄色のフリスビーだった。
カメラは空から少年の姿を捉える。
少年がフリスビーの上に着地する。と思ったのに足から海に飲み込まれていく。フリスビーもろとも消えてしまった。
少年を飲み込んだ海はゆらゆらと波立っていた。空の雲を映して、青と銀色に鈍くきらめきながら。
和音が穏やかなリズムを刻む。五線譜の上に並んだ音符の並びと同じように、海にはブイが浮かんでいた。
————
ここで夢は終わる。
ちょっぴり悲しい気持ちで私は目を覚ました。
いろんな現実をちょっとずつごちゃ混ぜにした夢をよく見るんだ。
寝る前にわおんさんのダーリン「ショスタコーヴィチ」を読んでいた。その時初めて、わおんさんって和音のことなんだ!と納得した。
前に、親戚の1人で海でサーフィンをしていてそのまま戻ってこなかった人がいると聞いた。遺体も見つかっていないそう。
亡くなった時、その人はもう大人だったと思うけど、海に飲み込まれた少年として夢に現れた。
黄色のフリスビーは見覚えがある。バイト先の子どもと遊んでいたやつだ。
それにしても、フリスビーでサーフィンなんてできるのかなぁ。
はちまきちゃんの夢っておもしろいですね。そんな夢の一部になっていたなんて、とっても不思議な気分です。