乾いたプレゼント

何でもない日に、プレゼントを贈ることができる男になりたい。いい男の条件はいろいろあるけれど、サプライズが上手な男はそのうちの一つだろう。突然だが僕は恋をしている(していた。と言った方が正しいかもしれない)今回はそんな話をしようと思う。つまり僕にはプレゼントを渡したい相手がいて、その人の喜ぶ顔が見たい。喜んでくれたら僕も嬉しい。そういうことだ。

プレゼントをする時に誰もがぶつかる壁がある。何を渡せばいいのか。当然、自分が好きなものを渡しても喜ぶとは限らない。例えば僕が大好きなエビをプレゼントしても、相手がユダヤ教徒だったら顔をしかめるだろう。(ユダヤ教ではエビを食べることが禁止されている)なのでここでは正しい想像力が必要になる。自分がされて嬉しいことを相手にするのではなく、相手がされて嬉しいことを相手にする。この言葉、タルムードの教えにもありそう。

 

いろいろ悩んだ結果、僕は花をプレゼントすることにした。花をもらって嬉しくない女の子はいないはずだ。まあ個人的に花にハマってたのもあったけれど、喜んでもらえる自信があったからだ。過去に花について話したこともあったし、間違いはないと思った。(もしかしたらこれが理由で僕は花にハマったのかも。ほんとに影響されやすいな。。。)そこで唐突にラインで好きな花を聞いてみた。そうしたらカスミソウが好きなんだって! 知らない花だったけど、白くて小さい花で可愛いと思った。そしてどうやらドライフラワーにしやすい花だそう。僕の想い人は仕事が忙そうなので、手間がかからない方がいいと思ってこれを渡そうと決めた。

 

鶴舞駅の近くにドライフラワーのお店があることを雑誌でたまたま知っていたのでお店選びには苦労しなかった。「ある日」というそのお店は、雰囲気が耳をすませばに出てきた雑貨屋みたいにレトロな雰囲気ですごく良かった。店主さんは寡黙な印象で会話も必要最低限だったけれど、プレゼント用にきれいにまとめてくれた。準備はばっちりだ。あとは会いに行くだけ!

 

好きな人に会いに行くのには二時間かかる。休みも不定期でいつ会えるかわからない。ほんとは毎月会いたいと思ったけれど、そうは問屋がおろさない。でも何とか会える予定を立てることができた。数えてみたら半年ぶりだった。時が過ぎるのは早いなあ。

 

そしてついに会える日の前日、このバイトさえ終われば明日は好きな人に会えるぞ! そう意気込んでやれば辛いこともへっちゃらだ。バイトが終わってラインを確認したら好きな人から連絡が!

 

「ごめん。仕事が入ったから明日はあえない」

 

 

 

神様は好きな人と会うことを許してくれなかったみたい。好きな人と会っていなかった6ヵ月、きっと不合格な生活だったんだなあ。相手を責めても仕方ないし、怒りも湧いてこなかった。心がアリ地獄にスーッと沈んでいくような、そんな感情。恋愛って本当にうまくいかないなあ。まるで砂漠でオアシスを探しているみたいだ。ふとサン=テグジュペリの人間の大地を思い出した。この本に著者本人が砂漠で遭難した時の記述がある。カラカラに乾いて苦しい。どこに向かえばいいかもわからない。そんな気持ちが少しわかる気がした。

 

真の贅沢というものは、ただ一つしかない。

それは人間関係という贅沢だ。

 

この本のとある一節を思い出す。金でも無く、物でもない。人間関係を満たすために僕たちは生まれてきたのかも。僕はまだまだオアシスを見つけられてないけれど、このまま歩き続けるよ。

 

P.S. 結局その花はお母さんにあげました。一か月くらい過ぎてたけれど母の日ということで。喜んでくれたから一応は良かったのかな。

“乾いたプレゼント” への2件の返信

はちまき にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。