マニラひとり旅 (1)

マニラひとり旅、1日目。
安全に眠れるところがあるって、なんてありがたいのだろう。

飛行機から降りた時、もわっと温かい空気に包まれた。マニラの気温は30度。朝家を出た時はマイナス何度かだったので、温度差に体がびっくりしてる。今が2月だということを忘れてしまう。

ホテルまでタクシーに乗って行った。
私が乗り込むとタクシーのお兄さんはマスクをした。どうやら手作りのマスクらしい。
空港でも聞かれた。「14日以内に中国や香港やマカオに言ったことがありますか?」
中国から来たのでなくても、空港から出て来た人間はウイルスを持っている疑いがあるからね。私だってマスクをしている。

ホテルに行くまでの間、タクシーのお兄さんはたくさん話しかけてくれた。私が聞き取るのが難しいと伝えると、電話で日本語を話せる友達を呼び出してくれた。
「仕事で東京に行ったことがある」
スマホから聞こえてくる日本語はなかなか流暢だった。
しかしながら、タクシーのお兄さんとホテルの人は日本語がわからない。私は自分の英語力を頼みにして切り抜けなければならなかった。

とてもややこしい話になる。ものすごくややこしいので読み飛ばしてもらって結構です。

もともと日本から一緒に行くはずの友達がいた。けれどもコロナウイルスが流行っているからとキャンセルした。もしウイルスに感染して仕事を休まなければならなくなったら困るのらしい。えっ、そんなに心配なのかなあ。初め私はそう思った。日本にいたとしてもインフルに感染するリスクがあるんだから。
でも仕事が大切なんだね。たぶん社会人になった時に、私も彼女の気持ちがわかるようになるのかも。

で、ホテルに話を戻そう。
友達が予約したホテルに私は向かうつもりだった。1日目にAホテル、3日目にBホテル、と両方ともマニラの中ではあるけれど異なる場所に泊まる予定だった。なぜかというと、中日に友達の友達(フィリピン人)の家にホームステイさせてもらうつもりだったから。しかし友達がキャンセルしたことにより、ホームステイはなしになり、私はBホテルの予約をし直して2日目と3日目をBで泊まることにした。
問題は、1日目泊まる予定だったAホテルから、「エアコンが壊れてるので泊まれない」と連絡があったこと。エアコンなんて壊れてたっていいよ、と真冬の日本にいた私は思った。マニラに着いてもまだそう思っていた。確かに暑いことは暑いけど、日本の猛暑と比べたら我慢できないほどではない。

タクシーでホテルに向かい、フロントで英語で書いたメモを手渡した。
「エアコンが壊れていても構わないので泊めてください」
ところが、よくわからない。タクシー運転手とホテルの人の間で英語で話が進んでいき、気づいたら私は agent と呼ばれるところに連れていかれた。旅行代理店みたいなところ?
ああ、Aホテルで泊まるのは無理だったんだ。私は納得した。
じゃあBホテルで3泊できないか。それをagent の人に説明し、電話してもらった。
「OK」
彼女は親指を立ててそう言った。ああよかった。今日の泊まる宿が見つかって、私は胸をなでおろした。

タクシーの運転手は私に初め言った金額の2倍と少しを請求した。メーター制ではない。どれだけ走ればどれだけのガソリンを消費するのか、私には判断がつきかねた。宿が決まるまですごく親身になって協力してくれたから、私は実際感謝でいっぱいだった。言われるままにお金を払っちゃう。
Thank you very much!!
ひょっとしたら、ぼったくられたのかもしれないけど悪い気分ではない。

夜ごはんを食べに外へ出た時はまだ明るかった。
なんてところに来てしまったんだ。これ以上ないってくらい、ごみごみした街。ゴミだらけってわけじゃなくって、つまり、混んでる。人と車で溢れかえっている。声をかけてくるバイタクも怖いし、道を渡るのもひかれそうで怖い。そんなこと言ってたらごはんも食べに行けれない。
4日間ここで生き延びてやるぞと腹を決めた。

“マニラひとり旅 (1)” への1件の返信

  1. 余裕でコロナウイルスにかかる覚悟でいくよ私は。ものすごい厳しい会社なのかなあ、私にはわからん。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。