If the frog had been my sister…

他人の日記を見つけたらついつい読みたくなっちゃうものだ。

私がそのノートを手に取ったのは偶然だった。妹の教科書が残っていなかったかな、と思って。中学生に数学を教えることになったため、教科書を探していたんだ。

誰が書いたのだろう?
すぐには確信が持てなかった。今まで私は、妹の文章を読んだことがなかった。

「3日坊主で終わりそうだ」1日目の終わりにはそう書かれていた。
その通り、初めの2,3ページで日記は終わっていた。
それでも、こんなにたくさんの妹の言葉に触れたのは、私にとって初めての経験だった。

日記には、日付だけで何年なのかは書かれていない。でも私にはわかった。私が留学していた時のものだ。私とLINEで話したことを、妹は日記に書いていた。
「ユーリ!!!」のアニメについて、確かに話した。お姉ちゃんと好きなキャラクターが一緒だった、って妹は書いている。

好きなアニメのこと以外、私は妹の置かれた状況を何ひとつ知らなかった。
妹はひとりで戦っていた。鬱と父と自分と。

それから、日記を元どおりしまうと、私は妹にLINEした。
「昨日部屋にカエルが迷い込んできたんだ」
それから、こうも送った。
「一人暮らししようと思ってる」
父と暮らすのは、もう無理だと私も心の中で思い始めた。私が特別なわけじゃない。出来のいい姉のことを特別扱いして、妹ばかり煙たがっていたなんて、そんなことない。だって、私も怖いんだ。お父さんのことが。いつ怒らせてしまうかとびくびくしながら生活するのはもういや!って思う。

その後で私は考えた。どうして突然、カエルのことを妹に話したくなったんだろう。

昨日の夜、寝ようと思ったら床の上で何かが跳ねてた。ずいぶんといきのいい、元気なカエル。茶色の床の上でも同化することなく鮮やかなグリーンを保っている。妹が好きそうな、黄緑色をしたキュートなカエルだ。
ところが私はぴょんぴょん跳ねる生き物が苦手だった。見ている分には平気なんだけど、こっち来たらどうしよう。こんなのが部屋にいたら絶対怖くて寝れない!
意を決して、ミスプリントを手に持つと、カエルの前に差し出した。乗った。そのまま窓の外へ。

今思い返してみて、なんだかとてつもなくひどいことをしてしまったような気持ちだ。
もしや、あのカエルは妹だった?
やたらと押入れの戸に飛びついていた。
カエルに姿を変えた妹だったとしたら、私、なんてひどいことをしちゃったんだろう。紙の上に乗っけたカエルを、窓の外に振り落とした。ごめん。。。

妹からのLINEの返事はまだ来ない。
もし今夜またあのキュートなカエルが現れたら、その時は妹と思って接しようと思う。

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