殺夢-さつむ-

 

 

 

—あの子を救いたいだけなのに。

 

 

 

 

 

 

何処かに溜まる夢から零れた涙は

誰かが叶えれなかった願いの塊の源に

何時かも忘れたかつて交わした誓いで

悲しみの海を僕らは航海する

 

止まれない時に立ち止まる君に僕は

無理にでも攫って行けば救えたかな?

数年前雪が降る夜に消えた夢を想う

君の中の時は雪とともに凍ったまま

 

僕ら何万ものの夢を殺しては生きて

増える知識に増える夢の屍の捨て場

新たな夢も息絶える瞬間は殺夢現場

さようならの五文字を何万回言った?

 

子供の頃の夢は何処で死んでいますか?

未来設計図のスケッチブックは灰と塵

その胸の中に背負う夢の屍は一体何個?

ああ数え終える前に寿命が尽きてしまうよ

 

 

何処かで殺した夢の屍から零れた愛は

誰かが報われなかった失恋に繋ぐ原因

何時かも忘れた溢れる好奇心は消えて

悲しみの雨に僕らは後悔する

 

胸を躍らせるような幼児期の夢を

知識という無数の刃で切り刻む

僕らは英雄にもなれないし

君を救う僕にもなれなかった

 

幻想的な言葉はいくらでも紡ぐのに

君を救う言葉は吐けない僕が憎くて

さようならの五文字を僕は

何万回言ったのだろう?

 

 

今日もまた一つ夢を殺した

割れた宝石は戻らないことを

誰よりも深く僕は知っている

 

さようならの五文字を

僕はまた言った

 

 

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