попрошайка パプロシャイカ
「おねだりしてくるやつ」みたいに訳したらいいのかなこれは。
クラスノヤルスクには大きな川が流れている。
Река Енисей (リカー エニセイ) エニセイ川
その川の真ん中には島がある。島の名はТатышев。
Остров Татышев (オーストラフ ターティシェフ) タティシェフ島
島といっても、ただの中州みたいなのを想像するなかれ。エニセイ川はばかでかく、その流れのど真ん中に位置する島もまたそれなりの大きさ。島にはサイクリングロードが整備され、セグウェイや一輪車を楽しむ家族連れで賑わう。というのが夏の風景。
冬は冬でまた別の楽しみがある。それについてはまた今度書くね。
今日は夏のタティシェフ島で出会った попрошайка 「おねだりしてくるやつ」について書こう。
日本人のСが、タティシェフ島でかわいい生き物を見たと言って、ジーナと私を案内してくれた。
ジーナというのは中国人。中国人のクラスメイトはみんなロシア名を持っていて、みんなその名前で呼んでいた(ちなみに私は彼女をリーシャンと呼ぶこともあった)。
時は5月の終わり。10ヶ月間の留学がそろそろ終わりを迎える頃だった。ジーナはもう1週間後に、私とСも6月には、それぞれクラスノヤルスクを発つ予定だった。最後の思い出にと、3人で島へ遊びに行ったんだ。
リスみたいな生き物が地面に穴を掘って暮らしていて、そこかしこにたくさんいるんだよ。
と一足先に島を訪れていたСは言う。私はふーんと半信半疑で聞いていた。
実際に島に行ってみたらびっくりした。いるいる!茶色のリスみたいなのが、緑の草原にできた穴ぼこを出たり入ったりしているのだった。短い耳、眠そうな目、背中は黒みがかった茶色。後ろ足で立ち上がってきょろきょろ周囲を見渡している。
しゃがんでひまわりの種を差し出すと、小さなふわふわの生き物はおそるおそる近づいてくる。人間の手が届かないところで立ち止まった。警戒しているのかそれ以上は近づいてこない。
私は地面に種をばらまく。
茶色の影がばっと飛び出して、種をとるとすばしこく逃げて行った。
時々ひまわりの種をかじりながら、私たちはサイクリングロードをぶらぶら歩いた(ロシアではひまわりの種が人間用のスナックとして普通に売られている)。
茶色の生き物たちに向かって種を放ると、彼らはさっと飛び出して持ち去っていく。私たちのすぐそばまで恐れを知らず寄って来るものもいる。好奇心いっぱいのくりくりした目。やわらかなひげは光を浴びて震える。
空気は暖かく、どこまでものどかだった。
ふと疑問に思う。
冬の間はどうしているんだろう?この小さな体のどこにマイナス30度を耐え抜く力を隠しているのか、不思議で不思議でしょうがない。分厚い雪の下、何ヶ月もずっと冬眠して過ごすのかな。
白い花が揺れるたび、リスに似た茶色の姿が見え隠れする。
私はじんわり喜びをかみしめた。花咲く季節、同じ時間を生きているということに。
わけもなく嬉しい気持ちがわき起こる。
それがシベリアの夏なんだ。
そのあとロシア人の友達にタティシェフ島で出会った生き物の話をしたら、суслик(スースリク)だと教えてもらった。 日本語では、ジリスかなんかだと思う。
「かわいいけど、попрошайка (パプロシャイカ)だよ」
ロシア人の女の子は威勢よく話す。彼女にかかれば、スースリクは食べ物をねだってくる図々しい生き物ということになってしまいそうだ。
попрошайка (パプロシャイカ)というのは、スースリクだけじゃなくてリスやカモみたいな生き物にも使うんだって。エサを求めて寄ってくる動物のことなのかな。日本の池の鯉もきっと、 попрошайка (パプロシャイカ)だね。
スースリク。
パプロシャイカ。
私の中でロシア語は可愛らしく響いた。
なんか泣きそうになる。ロシアの自然と文化が僕と結びついていくのが嬉しい。次もよろしくね
最近クラシックを聴いてると、色んな国の言葉があるけど、ロシアのことばは歌になると音楽によく溶ける響きがあるなって思います。なんでだろう、、。
のばしぼうと母音と小文字のバランスがいいのかな。。
ロシア語の単語はアクセントのある母音を伸ばすから、そのせいでリズムよく響くのかも!私もロシア語の歌好きです
はちまきさんのロシアのお話、すごく好き。なんだか読んでて気持ちいい。またいつか聞かせてください。
コメントありがとう!ロシアの話を誰かに読んでもらうのとても嬉しいです。