[大人の事情]

 

 

–彼は夢を運ぶ赤い人の存在を疑っているらしい。

 

 

 

 

今年の終わり際鳴り響くは鐘の音

残り数十回で今生きてる年は死ぬ

また一歩また一歩と「子ども」から

離れていくようなこの感覚は何?

「子ども」と名乗れなくなった頃に

人面電車も着せ替え人形もヒーローも

僕が信じてた夢を運ぶ赤い人も

全て何の意味も成さないことを知った

「大人の事情」言い訳で汚い物事を

全力で隠してくれた大人がいたから

何も考えずに純粋に生きれたのかな

夢を運ぶ赤い人の存在を疑う頃にはもう

僕は「大人の事情」の中身を知っていた

 

新しい年が来て鳴り止むは鐘の音

少し前まで生きた年はもう帰らない

また一歩また一歩と子どもの心が

消えてしまうようなこの感覚は何?

「若者」とみんなに言われ始め

お酒も煙草も嫌な先生の貴重な単位も

憧れて引越した身の丈に合わない都会も

全て何の意味もならないのではと疑うんだ

「大人の事情」に触れすぎて黒くなったなら

辿り着くは深夜2時のコインランドリー

何も考えずに手を洗えば綺麗になれるかな

夢を運ぶ赤い人も時々こうして手を洗っては

一生懸命夢を運び続けるのだろうか

 

年明けの太陽が微笑んでこの世を照らす

死んだ年はどうしても生き返らないし

また一歩また一歩と「大人」というものに

近づいていくようなこの感覚は何?

「大人」の定義さえ分かってないのに

仕事も結婚も明日から食べていけるお金も

紙切れ一枚で決まっちゃうような運命も

全て何か意味はあるのではないかと思うんだ

「大人の事情」いざ洗い流してみたら

子どもの頃は知らなかった夢がそこにあるんだ

何も考えずに学び遊び笑って過ごせるように

夢を運ぶ赤い人にみんなはなっていくんだ

僕もなるよ、夢を運ぶ赤い人に

誰かのために

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。