1万9000字からその先を

今日は一日中ずっと卒論と向かい合っている。家から一歩も出ないなんていつぶりだろうか。

メモや文献がこたつを占拠している。私の膝の上には犬が乗っていて、だんだん足がしびれてくる。
しばらく我慢してたけどやっぱりつらいのでレモンにはどいてもらった。

インターネットからの参考文献を貼り付けた時、ちょっと迷ったけどこう書いた。

「2018年12月31日閲覧」
後でまた、書き直すことにしよう。

今日は2万字まで届く予定だったのに無理かも。ちょっと弱気になってきた。

あともうちょっと。1000字も書いたら、すぐに2万字達成できる。しかし結論に迷ってしまったんだ。

何度も構成を練り直した。
もしかして大部分を書き直したほうがいいのかな。
それともこのまま書き進めて完成してしまえ。いや、それでいいのか。本当に?

出口が見えないまま時計の針は着実に進んでいた。

キッチンで母がおせち料理を作っている。手伝いに行こうかなと思いつつも、卒論から離れられない。
そつろん。
そつろん。
そつろん。

お昼ごはんと夕食の間にコーヒーを飲んでみた。砂糖とミルクは入れなかった。
「集中したい時はブラックで飲むよ」と言っていた言葉を思い出して。

1杯のコーヒーは私の頭をフル回転させ、A4 4枚をメモで埋めた。考え尽くしたけどしかし、結論はまだぐらついている。

夕食は家族ですきやきをつついた。
なんで大晦日にはすきやきを食べるんだろう。
坂本九の「上を向いて歩こう」は、英語になると「すきやき」というのはなぜだろう。
平成が終わって新しい元号はなんだろう。
Kで始まるらしいって。

もとから口数が少ない家庭なので、家族の会話はぽつぽつと味気ないものだったけど、ごぼうの入ったすき焼きはおいしかった。

お腹いっぱいになるまで食べた。

卒論を書き始めてから、体重が2kgぐらい減っている。
ちゃんと食べているつもりなのに、卒論にエネルギーをほとんど持って行かれてしまうみたいだ。

食事中、犬は傍らでうとうと眠っていた。

レモンの体重も減ってしまった。
数字にしてみれば、200g。たったそれだけって思うかもしれないけど、実際抱き上げてみればその軽さにびっくりする。

レモンは私が10歳のころにうちにきた。そしてもういくつか寝ると私は23になる。可愛かった子犬もおばあちゃんになるわけだ。
最近は寒いせいかあまり体調がよろしくない。

「来年はレモン、もっとよれよれだな。もしかしたら…」
なんてことを父が真顔で言う。

いつまでも元気でいてほしいと思うけど、それは叶わないのかな。

その後もまたしばらく考えてみたけど、結論はまだ出ない。
いや、結論はあるんだけど、どうやって繋げたらうまくいくのかわからない。
途方にくれてしまった。

こんな日はもう寝てしまおうと思う。
早く明日にならないかな。そしたらまた新しい気持ちで書き始められる気がする。1万9000字からその先を。

“1万9000字からその先を” への4件の返信

  1. なんだろうなあ。僕は半分くらい馬鹿にしたような気持ちで「プロフェショナル仕事の流儀っぽいなあ」と表現しようとしたんだけど、つまり、客観的な事実の連なりがドラマ仕掛けっぽいと表現しようとしたんだけど、違うなあ。この文章ちょう面白い。
    「卒論19000字」「12月31日」「一杯のコーヒー」「A4の紙4枚」「体重が2Kg」「レモン10歳」「私23歳」「ごぼうの入ったすきやき」「200g」この連なりがえぐいグラデーションあってよい。なんだろうブルースっぽい。

  2. 仮説をたてても、それを立証する参考文献が見つからなかったりして、都合よくいかないよねえ。2万字いきますように。

はちまき へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。