最後のウォッカは、ばーちゃんお手製の梅ジュースで割って梅酒にした。
グラスに浮かべた氷をガリガリ噛んだら、気分がスッとするだろうか。
そうでもない。
ウォッカの瓶はすっきり空っぽになったのに、もやもやした気持ちばかりが残っている。
なぜそんなに文句ばっかり?
どうして、不平不満を言うのかなぁ。ありのままではダメなの?
私だってあるよ。苦手なもの。
ピンク色が苦手。甘すぎるものが苦手。あの人が苦手。この人が苦手。
なぜかはうまく説明できない。なんとなく、いやだというのはある。
それでも、
嫌いでいるより、好きでいたい。
嫌な面よりも、好きになれる面を見つけようよ。
例えば、
子どもが塗っているピンクが好き。
混じり気のないどピンクと白がくっきり境界線を作っているのが好き。
夕焼けのサーモンピンクが好き。
ほんの少しだけ甘いミルクティーが好き。
お菓子を作るとき砂糖を混ぜるのが好き。
つぶあんの甘さが好き。
苦手と思った人でも、
意外ないいところを見つけたら、
きっと好きになれるよ。
好きって何?
嫌いって何?
好きになったり、嫌いになったりするのには、理由なんてない。その気持ちは、自分でどうしようもないことなんだと思う。
私が緑色を好きなのはなぜ?
ピンクが嫌いなのはなぜ?
人を嫌いになるのはなぜ?
好きになるのはなぜ?
説明できないけど、
嫌いになるし、好きになる。
私を嫌いにならないでほしい。
好きでいてほしい。
そう思うのはきっと無駄なことかな。
ウォッカなんて好きではないよ。
でもロシアが好き。ばーちゃんの作る梅ジュースが好き。氷が好き。
嫌いを好きで薄めたら、きっといい味になると思うんだ。