夕焼けから炒りごままで

すっきり晴れた。

透明な夕焼け。ピンクに染まるうろこ雲。金木犀の根元に散らばるオレンジ色の粉。葉を落とした桜の枝はまだしっとりと朝の雨の水気を残している。

疲れたでしょ。
疲れたけど、とても楽しいです。

調子に乗って残業しちゃった。
今日は金曜日。金曜日だ。金曜日!
いっぱいいっぱいの1週間をなんとかやり過ごしてへとへとのはずなのに、私はバスには乗らなかった。真っ暗な森へと足を向けた。マラソンのゴールテープを切った後、もう少し歩いてみようかという気分。

火星が明るい。月のそばには木星と土星が寄り添う。プラネタリウムで教えてもらった。他にも星があるはずだけど、残念ながら見つからない。
雨上がりの散歩はすてきだ。半月の光は眩しいくらい。真っ暗闇を歩くには十分すぎるほど明るくて、小さな星を見落としてしまう。地面には猫の影がくっきり。でも写真には映らなかった。
池にはさざ波が立ち、明かりを映して揺れる。ちょっと寒いけどそこまで冷えるわけではない。「涼しい」と「寒い」の間を、ゆっくり秋は深まっていく。

私の半分は満ち足りていて幸福を感じている。もう半分は空っぽで、言いようもなくすかすかしてる。でもそれで、うまいことバランス取れているんだ。すっかり落ち込むこともなければ幸せ絶頂というわけでもない。
それでいいんだよ。
私は私のベストを尽くした。それでいいと自分が信じることを実行した。できなかったこともあるけれど、これからできるようになればいい。
報われなかった想いは、いいよそれで。私は自分の好きなだけ、いくらでも好きでいられる。誰がなんと言おうとそれだけは止められない。
It’s OK.
だって、それ以上のことはどうにもできないんだ。

うちに帰るとただちに夜ごはんを作った。
もやしとマイタケの中華風スープを作ろうと思ったけど、緑が足りないのできゅうりを入れてみた。いや、やっぱり気が変わった。中華はやめて豆乳鍋のキューブを投入する。一人鍋用のキューブの袋には書いてある。リゾットにするといいよ。きゅうりを全て取り除いた後、さっそく鍋にごはんを放り込む。それだけじゃ足りないような気がしたので豆も入れた。最後にごまをかけて食べるとちょうどいい味になる。香ばしい炒りごまだ。
二度と再現しないだろうから、ここにレシピを記しておく。

途中でいいから寝よう。とても疲れた。
もうどこにも続きはない。

すっかり疲れた。

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