仮定法のすすめ

昔の人も、今の日本人も、英語を話す人も、一緒だったんだね。現実がつらくて苦しい時には妄想の世界に避難することができる。仮定法は人間の偉大な発明と言えるかもしれない。

私?それはー、もちろん、私だって妄想するよ。
1、2年前くらいかな、ロシアが恋しくてたまらない時期があったんだよね。ロシアに帰りたくてどうしようもないくらい。わかるかい、胸がぎゅっと苦しくなるようなこの気持ち?
恋しさ。せつなさ。あの場所に戻りたい!という、叶わぬ願い。それが逆ホームシックというものだ。外国から日本に帰ってきた人が、異国の地を恋しく思うあまり、日本で生きていく気力をなくしてしまうんだ…。
日本とロシアが歩いて行ける距離にあったらいいのになあ…。そうやって毎日、毎日考えていた。そしてついには小説を書いてしまったのさ。

100%現実に満足して幸せいっぱいの日々を送っていたら、きっと私は文章を書こうなんて気を起こさなかった。つまりそれはね、苦しくてつらい現実をなんとか生き延びる術なんだ。
私は小説を書き上げたことに満足している。けれども、いくら妄想したところで現実にはかなわないとわかっているつもりだ。日本からロシアに歩いてたどり着くというのは、実際ありえない。鼻で笑われて吹き飛ぶような夢だよね。
むしろ私は現実でロシアに行く夢を叶えたい。いつかまたロシアを訪れることを目標に、なんとか日本での日々を過ごしているよ。

私みたいにそこまで思い詰めたりしないでね。苦しい時には妄想が救いになるかもって話。
「もしもロシアと日本が歩いて行ける距離にあったら…」
現実にありえないことだから、思い描くのは楽しいんだよね。時々は思いっきり自由に、想像の世界を楽しむのもいいんじゃない。もっと自由に生きてみたら。そう、仮定法は語りかけている。

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