夏のコーンスープ

お昼にコーンスープを作った。

「近いうちにとうもろこしを送るね」という約束の通り、クール便で送られてきた。緑の葉はみずみずしく、剥がそうとすると根本でぱりぱり音を立てた。いかにもとれたて新鮮って感じ。
丸ごとかじるのもいいけれど、とうもろこしって食べにくいんだよね。2本をコーンスープにして、残りは茹でて実だけこそげ取って冷凍にしよう。頭の中でざっと手順を組み立てて、鍋と土鍋を取り出した。
空腹な時ってなんでも雑になる。皮をむしり取る時、勢い余ってひげを飛び散らせてしまった。机の上に張り付いた透明な糸はつまみ上げようとしてもなかなか取れない。とうもろこしのひげとはそういうものだ。

実は隙間なくぎっしりついていた。
近年は甘くておいしいとうもろこしが取れる。昔はもっと虫食いだらけで、味もいまいちだった気がする。ばーちゃんの農業スキルが上がったのか、それとも虫に強くて甘いとうもろこしの品種に変わったのか。農薬は使っていないと私は信じてる。
ざっと水で洗い流した後、おろし金ですりおろした。2本とも芯だけになる頃には、土鍋の底は黄色のペーストで見えなくなった。水をちょいと足し、コンソメキューブを入れて煮る。火が通ったかなというところで、牛乳を注ぐ。それから、塩と胡椒を適量。

土鍋は冬だけでなく一年中重宝する。雑炊、カレー、シチュー、トマトスープ、コンソメスープ、煮物、肉じゃが、すき焼き。
蓋をするとすぐ熱々になる。手っ取り早く煮込みたい時にはやっぱり土鍋だ。

コーンスープを煮ながら、昼食にするオムレツも同時進行で作る。今日はもずくオムレツ、チーズ入り。
卵を割ってもずくを混ぜて、フライパンに流し込むだけ。包丁は使っていないし、計量カップもいらない。洗い物は最低限で済ませる。
オムレツとコーンスープを食べる間に、残りのとうもろこしを別の鍋で茹でる。片付けは食べ終わってから全部まとめてやろう。
適当で、いっそ乱暴なくらいだけど、でも何も無駄にしない。考えるよりも先に手が動く。これがあるからあれを作る。毎日繰り返すうちに、息をするように自然に動けるようになっていた。

コーンスープは驚くほど甘かった。おろし金ですりおろされたつぶつぶが残っている。ね、雑な方がおいしいでしょ。
暑い日には冷たい方がおいしいと思うのに、わざわざあっため直すやつがいる。好みは人それぞれということだ。
たっぷり作ったつもりなのに、あっという間に鍋は空になった。フランスパンと一緒に朝食べようと思って買ってきたんだけど、スープの方が先になくなってしまいそうだ。
種からとうもろこしが育つまで、どれだけ手間がかかっていることか。当たり前だけど、食べたらなくなってしまう。

買い物に行って、
料理して、
食べて、
お皿を洗って、
寝る。
毎日その繰り返しだ。
昨日食べたもののことなんて
一日経てばもう忘れてしまう。
今日お腹いっぱいになっても、
明日になればまたお腹が空いている。

うまくできた!とか
おいしかった!という時に、
幸せは確かにあると思うんだ。
だから明日も料理を作りたい気持ちになる。

あとは、とっておきの冷凍コーンを忘れないうちに使い切ればいい。

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