就活セミナー

「教師として、どのように生徒理解するか?」

その質問を受けたとき、私は自分の高校時代の出来事を話し始めた。そこに、「生徒理解」の答えを考える糸口があるような気がしたから。

————

高2のある日、私は担任の先生に言った。「学校やめたい」
勉強したくなかった。成績は決して悪くなかったよ。むしろクラスで一番だったこともある。でも疲れてしまったんだ、がんばることに。

授業もいや。宿題もいや。学校行くのもいや。それは全て、私の中でやらなくてはいけないことだった。
でも、真面目な優等生は中途半端にサボるというすべを知らなかった。ある日突然、「学校やめたい」
先生はきっとびっくりしただろうなぁ。

「世界には勉強したくてもできない子がたくさんいるんだよ」
先生は言った。しかし当時の私にはその言葉はあまり響かった。
「世界のどこかの勉強できない子たち、それが私に何の関係があるというんだ」
とは言わなかったし、実際はその時考えもしなかったことだ。なにも答えられなかった。言葉の代わりに涙しか出てこなかった。

生きていく苦しさに押しつぶされそうだった16歳。
学校をやめて、他になにをしたいのでもない。働くという選択肢も考えたけど、働くのもいつかいやになってしまうとわかっていた。何もしたくない。生きていることさえ。

勉強したくないときは、勉強しなくてもいい。
何もしたくないときは、何もしなくていい。

そんな単純なことを、あの時の自分は実行できなかった。それを誰かに言って欲しいと願っていて、「学校やめたい」と言っていた。
がんばっている間、人は私を認めてくれるかもしれない。みんなは頭のいい、勉強のできる私を気に入ってくれる。けれども、勉強ができない自分には何の価値もないのではないか。
中学高校の頃、自己肯定感が皆無だったんだね。

今はそう、客観的に自分を見ることができる。

————

「教育」ってなんだ。
先生を目指すと決めた時から、ずっと考えている。教育とは、人の自由を奪うものなのだろうかと。

学校で子どもたちは、社会に合わせることを教えられる。学校では、やりたくないことでもやらないといけないと言われる。
勉強しなさい。
宿題やりなさい。
将来は働かないといけないから、いやなことでも我慢してできるようにしなさい。

「何もしたくない」なんて言っていたらダメなのだ。社会はなまけものを受け入れてくれない。

ろう教育でも、「聞こえる社会に合わせること」を考えないといけないみたいだ。
ろう学校の生徒は、日本語や英語を身に付けることを求められる。手話だけで生きていくのは難しいから。できるだけ口の動きを読み取って、できることなら聞こえる人のようにしゃべりなさいと、今でこそ昔の口話主義みたいに強要はしないだろうけど、見えない圧力に抗えない。

「社会」って何なんだ。
本当は、社会は個人に合わせるべきじゃないのかな。一人ひとりがそれぞれの幸せを叶えるために社会はあるのだから。でも実際は、個人は社会の犠牲になる。社会に合わせて自分を変えなければならない。みんな我慢してみんなに合わせなければならないと思ってる。
そんなの馬鹿げてるじゃないか…。

「がんばらない社会」を作りたい。

よしださんに出会う前から、「がんばらない社会」という考えを私も持っていた。
「がんばらない社会=無理しなくてもいい場所」だと思った。無理して社会に合わせなくてもいい、一人ひとりが自分らしくいられる場所。

でも、よしださんやもりきちくんの話を聞いて気がついた。「無理をしない」だけでは足りないんだ。
おもしろくなかったら、生きていけない。

「おもしろいってなに?」
を、今やっと考え始めた。
私の心を動かすものってなんだろう。

高校生だったあの日、私の心は空っぽだった。ただ、周りの期待に応えたくて勉強を頑張っていた。数学も世界史もおもしろかったよ。でも、どこか虚しかった。

普段、たくさん自分に嘘をついて生きている。「やらなくてはならないこと」を乗り切るために私は自分をだます。いつのまにか嘘を本当だと信じてしまう。

正直な「おもしろい」を私は見つけないといけない。

———–

スーツ、足の痛くなるパンプス、ドアの開け方から挨拶の仕方まで、型から外れないように気を遣う。面接官は志願者のその人らしさをどこに読み取るのだろうか。エントリーシートに書く言葉?面接で話す言葉?どのみち会社は会社に合う人材しか求めていない。

…というのが、私の思い描いていた就活。私自身は就活をしていない。教職に逃げた。

就活は、社会と自分の折り合いをつけるための試練なのかもしれない。先日の就活セミナーでななこやもりきちくんの講演を聞いていて、そう思った。
社会に受け入れられるように自分を変えなければいけないけど、でも自分を大切にしたい。他人のためではなくて自分のために生きたい。だから、自分にとっての「おもしろい」を見つける必要があるんだ。

本当の本当に
自分のために生きるって難しいね。

———-

さて、
最初の質問に戻ろう。私が考える「生徒理解」とは?

まだ答えにはならないけど、大切にしたいと思うことはある:

まず、生徒のタイミングを尊重すること。
勉強したくなった時に、勉強したらいいよ。
そう言える教師になりたい。

おもしろいってなに?
をいつも自分に問い続けていきたい。学校の中に「おもしろい」を考えるきっかけを作れたらいいなって思う。

“就活セミナー” への2件の返信

  1. 「自分のおもしろい」を探す。もりきちメソッドね。よしだメソッドは「自分の弱さ」を見つける。です。まあだちらにせよ自分を知れと言うことですので、ダーリンの環境を使いたおしてみつけてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。