宝を探しに本山へ

僕の住んでいる場所は大学が近いこともあってか、いい古本屋さんに恵まれている。本山駅の六番出口を右に曲がって少し歩き、レンガの階段を下に降りると、要塞みたいな本屋さんがある。それがシマウマ書房だ。その古本屋さんにこの土日に2回行った。

土曜日の17時にバイトが終わって、このまま帰るのもちょっと早い気がしたので、お宝探しがしたくなった。そしてレンガの階段を下りて扉を開けた。文庫本や単行本はもちろん、雑誌もたくさん置いてある。雑誌にドはまりしている僕は、心が奪われた。

「え、Studio Voiceも置いてあるし、ポパイもブルータスもあるし、スペクテイターも置いてある!!!」

スペクテイターという雑誌はテーマが面白い。バックイシューを調べてみたら、文章を真剣に書こうと思っている僕にとって興味をそそられるものがいくつかあった。「クリエイティブ文章術」というテーマで書かれたものをアマゾン買った。雑誌はすぐに新品で手に入らなくなる。そうなるとバックイシューを手に入れる一番簡単な方法はアマゾンかメルカリで探すことだ。その回ではノンフィクション作家の文章の書き方が基本的なテーマで、一番大きく取り上げられていたのは北山耕平という人だった。彼の主な活動は雑誌の編集で、宝島や僕の大好きなポパイの立ち上げにかかわった人だ。もっと北山さんの考えを知りたいと思った。そしてスペクテイターを何冊か調べていたら、北山耕平特集があった。ずっと前から欲しかった宝物を見つけたと思った。

 

そして、その感動をキープしつつ次の宝物を探した。2017年くらいのブルータスにこの目で見ておきたい西洋絵画100という特集がある。アマゾンではプレミアがついていて、中古で買って3000円くらいの値段で売られている。目の前にはブルータスだけでも30冊くらいあったので、頑張って探せば見つかるのでは?と思った。2段になっている机の下の段に山住で置かれているブルータス。180弱ある背丈を丸めて必死に探した。でも目当てのものは見つからなかった。何度も何度もひっくり返しては戻してを繰り返していたら、何やら異変を感じた。どうやら店主が外の本をお店の中にしまっている。スマホでシマウマ書房と検索した。そしたらそこには赤の文字で、営業時間外と書かれていた。タイムアップ。宝探しの時間は終わった。本探しに夢中になって長居してしまったのが申し訳なくなって、一目散に外に出た。

 

冷静になってから、スペクテイターの目当ての回をそのまま置いてきてしまったのをとても後悔した。「もしかしたら明日売れてしまうかもしれない!」明日再び出向いてなんとしてでも手に入れなくては!

 

日曜日、半田市に小旅行に出かけた僕は16時に本山についた。一緒に行った友達も村上春樹が好きなのでついてくることになった。単行本のコーナーを最初に見てみたら、読みたい本を見つけたみたいで興奮していた。ふとそっちを見ると、ずっと欲しいと思っていた、村上春樹の「職業としての小説家」を発見して僕も興奮した。結局スペクテイターの北山耕平特集は無事発見された。ついでに前述の本と、内田百閒の阿房列車も購入した。1250円だった。

 

欲しいものが手に入ったので大変いい休日となった。今日の22時から夜勤が入っているけれど仕方ない。本を買うために時給労働をする。「将来的には文章を書くことが仕事になればなあ」なんて思いながら今日も書く。そんな休日だった。

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