下北沢をもえちゃんとふらふらした。説明編

3月の末に、下北沢でダーリンのもえちゃんに会った。僕が下北沢を選んだ理由は、純粋に文化資本の香りを身に浴びたかったからだ。数日間実家の自室に引きこもって、息をひそめて生活をしていたので、恐ろしい速度の流れに身をまかせたくなった。下北沢には、本や服、演劇と文化的商品が溢れており、街を歩く人々は、古着を身にまとい、大量の資金を文化的商品に投下している。そして資金を集める店舗がさらなる文化資本を集める構造が存在している。
町のいたるところに「納税をせよ」と赤字で書かれた垂れ幕があった。それは一昔前の、「我々は闘う、お前たちは預金をして国を助けろ」という政府のプロパガンダを思い起こさせた。下北沢の一番街を散策していたらpropagandaというネオンサインが掲げられた、薄暗いカフェかバーのような店舗があった。どういう経緯でpropagandaという名前をつけたんだろう。店の窓から店内を除くと、20代後半の少しフォーマルな恰好をした男性の集団が、マルガリータやモヒートのようなカクテルを飲んで談笑をしていた。もえちゃんがいなかったらふらっと入っただろうなと思う。二人で怖いねえ、、、なんて言いながら店を通り過ぎた。しばらくしてもえちゃんは「私もお酒が飲めたらふらっとお店に入るのに」と言った。

なんの話だっけ。そう、もえちゃんと初めて顔を合わせて会ったのだ。もえちゃんにスマホケースを渡すという名目で半月前くらいからお誘いをしていた。彼女は快諾とは言えないけれど、僕と会うことを受け入れてくれた。彼女は猫のようにさっと逃げ隠れしてしまいそうな印象の女性なので、井之頭線にのったまま渋谷にでも行ってしまうんじゃないかと心配していたのだけれど、時間通り現れて、僕が気がつくより先に彼女から声をかけてくれた。小豆色のコーデュロイ生地のジャケットに黒のチノパンツ、黒の線が入ったアディダスのテニスシューズという格好で、黒のリュックを背負っていた。外行の恰好というより着なれた普段着という雰囲気があり、綺麗に切りそろえてあるショートヘアと相まっていささかヘビーデューティーすぎるような気がした。小豆色のジャケットをみると袖や胴がほつれており、古着のようだったので、彼女に「そのジャケットは古着か」と訊くと、なんでもなさそうに「zaraで売れ残っているものを買ったよ。2000円くらいで」と答えた。僕はすぐに東広島のゆめたうんに通うもえちゃんの姿を連想して、あまりに想像の彼女と一致していたために、もえちゃんと会って遊んでいるんだなあという感慨深さを感じていた。この表現なかなかに気持ちが悪いですね。

今日も読んでくれてありがとう。めんどくさい説明パート終わりです。続きます。

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