よしださんと会って話したあと、書きたいことがたくさん出てきた。
書きたいことがありすぎると逆に書けなくなってしまうものなんだね。
スマホにメモばかりが溜まっていく。
今日は宣言だけにしようと思う。
ロシアを舞台にした小説を書く。
できたら見せるね!ななことよしださんともりきちに。
最後まで書けるように応援していてください。
昨日私は学生証と定期を落としたんだけど、ロシアでも同じようなことあったなと思い出した。
今日は伊坂幸太郎の『砂漠』を読み終わった。
それから、書き始めた。
周りに広がるのは白い砂漠だけれど、そんな凍てつく寒さから守られた場所で、日本人とロシア人が楽しく過ごす物語。
書き出しはこんな感じだ。
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「私もらっちゃうのはダメかな?」
クレジットカードを指でもてあそびながらナターリャが言った。ピンクのマニキュアを塗った指がカードの表面をなぞる。子どもが公園で拾った木の実をうちに持って帰ろうとするみたいに、その表情は無邪気だった。
「だめだよ。だってほらこの子困っちゃうだろ」
ショッピングモールの駐車場、暖房を効かせた車の中で、僕と彼女はかれこれ20分も議論を繰り広げている。
落し物を見つけたのは彼女だった。日曜日の午後、映画を見終わった後、駐車場に出たところでクマのポーチが落ちていたのだった。外は寒くて手袋を外すこともできないくらいなので車に入って中身をあらためた。
「シベリア連邦大学の留学生だよ」
学生証を見ながら僕が言う。クマのポーチから出てきたのは学生証とクレジットカードだった。印字された名前は、Mana MIZUNO。名前から想像つく通り、写真の顔はアジア系だった。
「中国人かな?いや、日本人かも」
クレジットカードと学生証には連絡先は書かれていない。その時ナターリャがポーチから紙切れを見つけた。レシートかと見まごうような小さな紙片には、「ヴァレリア」というロシア人の名前と電話番号が手書きで書いてあった。ロシア語で書いてくれていたのが幸いだ。
「日本人の子の友達じゃないかな。とりあえずヴァレリアさんに電話してみようか」
ナターリャがそれを自分のものにしてしまうことを提案したのは、その時だった。
「日本人ならお金持ちでしょ。クレジットカードの1枚2枚、なくなったって困らないと思う」
あっけにとられた僕に、ナターリャはさらに言い募った。「暗証番号を解析するソフトならあるよ。4桁の暗証番号なら10秒でわかるって聞いたことがある」
「この子はまだ学生だし、たとえお金があったとしてもカードを使ったらバレるに決まってるじゃないか」
「現金だけ引き出してカードはポイすればいい」
ナターリャのその物言いに僕は呆れてしまった。冗談かと思ったら、本気で言っているらしい。
「じゃあもし、きみがお金をとったせいで、日本人がロシアに対して悪いイメージを持つようになったらどうするんだ?」
「黙ってたら問題ないでしょ?」ナターリャは、いたずらっぽい表情はそのままに、挑戦的に眉をあげた。その顔を僕は睨んだ。
そのまま数秒が過ぎていった。そうしている間にも、外の冷たい空気と車内を隔てるフロントガラスに、雪が音もなく降り積もっていく。狭い2ドア車が沈黙ではちきれそうになる頃、彼女がふぅっと息を吐いた。
「出来心でしたすみません」それから僕に笑顔を向けた。「きみは私の良心だ」
ナターリャはポケットからケータイを取り出すと電話をかけた。相手はすぐに出た。シベリア連邦大学の中にある日本センターで働いているヴァレリアと名乗った。日本人の女の子とは友達ですぐに彼女に連絡してくれるらしい。
「これからアレーヤで夕食を食べてくるので、20:00までその付近にいます。もし今日受け取りに来られないのなら、また都合のいい日時を教えてください」と言ってナターリャは電話を切る。
「さあごはんを食べに行こう。お腹空いちゃった」
ばんっと音を立ててドアを開けると、冷たい空気とともに雪が入り込んできた。外はもうすっかり暗い。
いいんじゃなーい
まだまだ日本は、黒人はアフリカ、アラブ系はアラビア周辺、白人はアメリカとヨーロッパっていうイメージがけっこう染みついていて、ロシアとヨーロッパの人の違いなんてぜんぜんわからないだろうから、こういう小説はロシアの色が出てきたらけっこう面白がられると思う!たぶん!根拠はわたしがとても興味あるから!
そうそう!ロシアの雰囲気を感じられる話を書きたいんだ。
楽しみにしてて〜