星に願いを

 

 

 

 

人が空に向かって願い事をするのは一年で一体何回あるのだろうか?

年に一回、天の川を超えて二人が巡り会える日がそろそろ近付いてくる。

純愛な二人をよそに世間は来たる日に備えて竹や笹を立てて色とりどりの短冊を揃える。人々は短冊を手に取りあれこれと自分の叶えたい願い事を書いては飾る、不思議な光景がもうすぐやってくる。

「七夕もうすぐじゃん、願い事書こうぜ」

数え切れないほど多様多種なお店が両脇に立ち並ぶ細長い建物のちょうど真ん中あたりにあるちょっとした広場に見てすぐ偽物だとわかるほど鮮やかな緑色をした大きすぎる笹が置いてあるのを友人が先に気づいた。わたしの身長の二倍以上はある高さでそこに立っていた。そして様々な色をした短冊をたくさん、身に纏っていた。

「わたしね、願い事はもう決まってるの。高校生のときからずっと同じ願い事なんだよね」

「へえ、なに?」

「全てが自分の思い通りになりますように」

「欲張り。あーでも逆に無欲かもな」友人は笑っていた。わたしも笑っていた。

願い事なんてその日その日移り変わるかもしれないものだし、願っても仕方が無いこともあれば、願うよりも先に行動した方が早いこともある。それならいっそ、思いっきり「全てが自分の思い通りになりますように」と願ってしまった方がいいんじゃないかと高校の時にそう考えて以来、初詣も七夕も願い事をするときはいつもそう願っている。

今年ももちろんそう願うつもりだ。

「全てが自分の思い通りになりますように」

 

 

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