—彼は孤独らしい。
生きるために、書く。
湿った咳
気管支の音
曇るゴーグル
濁る視界
肺野のレントゲン
清潔の境界線はビニール
不潔な自分
病室
夜勤明けの部屋
遮光カーテン
すいみん
昼のテレビ
新規感染者
安楽死
今死ぬのありだなと思うきもち
やるせなさ
出勤
通りすがるチャペルと寺
祈る人
イヤホン
愛にできることはもうなさそう
疲れた
昨日、近所のマルシェでビーツを買いました。その後で、祖母が畑の野菜をくれました。きゅうりとピーマンとナス、オクラ、ささげ。それから大量のトマト。
Вчера я купила свёклу на ярмарке. Потом бабушку подарила мне овощи из дачи: огурцы, зелёные перцы, баклажаны, окура и сасагэ. И ещё много помидоров. “ダーチャ” の続きを読む
「手話を勉強してどれくらいになりますか?」
ど、れ、く、ら、い。
目の前の相手の、たどたどしい指文字を私は読み取る。ぎこちない感じが、不思議に心地よい。話していると時間がゆっくりになるような気がする。 “have going to ってどういう意味?” の続きを読む
バス停でバスを待つ間、男の子はずっとスマホのゲームに夢中だった。 “テープカッターと沈黙” の続きを読む
ホストファザーが運転する車の中で、今日見た動物の中で何が一番良かったか、という会話をしていた。
「ヘビが良かった」弟くんが言った。
最初私はロシア語の「ヘビ」がわからなくて、そしたら弟くんはヘビの真似して手を動かして、それでやっと理解できたんだ。 “ロシア語メモ жаворонок” の続きを読む
例えば、あのマックの看板。暮れゆく空に丸みを帯びた黄色の曲線がMの形にくっきり浮かび上がる。
Q. 放物線の区間Mの長さを求めよ。 “それでも勉強する意味なんてあるの?” の続きを読む
考え事をするのが好きです。
デスクトップということばがPCにあるように、あたまのテーブルの上にざっと必要そうなものをばらまくのですね。それを遠くから眺めたり、手に取ったりして、こんなことが言えそうなんじゃないかな?と想像するのはとても楽しい。PCには、RAMとかメモリとかストレージみたいな制限がいくつもある。けれど、頭のなかの机はどれだけ広げてもいい。僕の腕も現実ではありえないくらい伸びて、遠くのものを軽々と手にとったりする。
制限がない、というのはなんと自由なことだろうと思う。そして、同時になんとか弱い行為なんだろうと思うのだ。
か弱い行為とは、地に足がついていない、実行力のない、みたいな言葉でも言い換えられますね。あれをしてみたい、とか、もしこうだったら良いなあとか、想像するのは楽しいよねえ。けど、現実というのは、さまざまな制限が前提として立ちはだかっていて、それを超えるには、けっこう力がいるんだよね。歯を食いしばって重いものを持ち上げたりさ、息をきらして駆け抜けたりさ、持久力も求められたりして、運動が嫌いな僕なんかは、けっこう辛いんだよなあ。
「夢に手足を」なんてキャッチコピーがある。空想を現実のものに、ということだろうね。手足をつけるという行為をないがしろにして、夢をみるだけにとどまってる人は多いんじゃないかなあ。世の中、アイデアや妄想で解決された華々しいお話がいくつもあるものねえ、そりゃあ勘違いもしますよ。アインシュタインは夢のなかで空を飛んでたね。堀越二郎さんも空飛んでいたっけ。ここで大事なことは、彼らは夢をみたあとに、机に向かってペンを握ったことだよね。妄想が、物理公式になったり飛行機になる瞬間です。
俺も、ペンをにぎらなくちゃならんねえ。と思うわけです。というか、会社にいくと握らされるんだよ。夢に手足をはやすという行為はゲロを吐きそうなくらいしんどいんだよ、ってな話をしたくなっただけです。悪しからず。
今晩も、モンエナを飲んで机に向かっています。僕の家の机は150cm×75cm。夢のなかの机よりはずいぶん小さいんだけれど、物を広げるには十分な広さでね、けっこう気にいっているんです。
じゃあね。夢をみるのも惜しんでペンを握るすべての人へ。
ただいまを言うことを忘れていた。 “どうでもいいことを話したらいけない” の続きを読む