–今夜も少年は眠れないらしい。
生きるために、書く。
24時間前まですっかりあきらめていたのに、いま私はウラジオストク行きの飛行機に乗っている。
うれしい。まだロシア着いてないけど、もう既に最高にうれしいよ。
奇跡だ。神様ありがとう!
Спасибо, Бог!
“紆余曲折あったけど” の続きを読む
「校長先生の話は鼻くそなので話すことはありません。今月も頑張りましょう終わりっと」鍛えていてガタイがよく、日焼けなのか元からなのかわからない黒い肌をしているスーツを着た初老の男性が鼻くそをほじる仕草をしては、周囲に笑いが起こった。校長先生も笑っていた。
とても高い天井に数々の管が行き来している隙間に申し訳なさそうに居座っている照明が広い空間を照らしている。茶色い床、黄色い扉、奥にはトランボリや大きなクッションといった遊具が置いてある体育館で「全校朝会」とかいう月に一回ある行事が行われていて、身長順に並んでいるわたしたちは校長先生の話を聞いていた。
確かわたしがまだ小学低学年の頃だった。その頃わたしは校長先生が大好きだった。
見送りに行った。本当は一緒にロシアへ行く予定だった友達と、本当は乗る予定だった夜行バスを。
私は名駅を全力疾走した。右手で持ったドッグフードの袋が揺れる。 “ロシアで会おうね!” の続きを読む
大切な友達がいる。
「わたしね、文がどうしようもないほど愛おしいの」心に治る見込みもないほど大きな傷を背負った妙齢の女性は小学生になったばかりのわたしにそう告げた。