「ん〜お酒はきもちいいぞ?」スキンヘッドのお兄ちゃんはそう言って缶ビールを飲み干しては笑っていた。半袖から伸びる太い腕に龍の絵が描かれてある。とてもかっこよかったのを覚えている。
生きるために、書く。
「ん〜お酒はきもちいいぞ?」スキンヘッドのお兄ちゃんはそう言って缶ビールを飲み干しては笑っていた。半袖から伸びる太い腕に龍の絵が描かれてある。とてもかっこよかったのを覚えている。
「校長先生の話は鼻くそなので話すことはありません。今月も頑張りましょう終わりっと」鍛えていてガタイがよく、日焼けなのか元からなのかわからない黒い肌をしているスーツを着た初老の男性が鼻くそをほじる仕草をしては、周囲に笑いが起こった。校長先生も笑っていた。
とても高い天井に数々の管が行き来している隙間に申し訳なさそうに居座っている照明が広い空間を照らしている。茶色い床、黄色い扉、奥にはトランボリや大きなクッションといった遊具が置いてある体育館で「全校朝会」とかいう月に一回ある行事が行われていて、身長順に並んでいるわたしたちは校長先生の話を聞いていた。
確かわたしがまだ小学低学年の頃だった。その頃わたしは校長先生が大好きだった。
「わたしね、文がどうしようもないほど愛おしいの」心に治る見込みもないほど大きな傷を背負った妙齢の女性は小学生になったばかりのわたしにそう告げた。
「もっと障害者に限らず全ての人間が幸せになればいいと思います。」数多のウィスキーが並ぶカウンターしかないBARの向こうでノートにその文章をマーカーで書いたつかれたおじさんは泣いていた。