わたしが住んだ街のおはなし(さん)

 

 

「こんな広いひまわり畑、僕の街には無いんだよ!」太陽が遙か彼方に居座っていてわたしたちを見下していた。辺り一面、緑、茶、青、白、灰しかなかったのに歩いてると突然、黄の絨毯が現れたのだ。終わりが見えないほど果てまで広がる黄の暴力をわたしたちの目に受けた。

感動という言葉さえも生まれないほどにわたしはこの景色を見飽きていた。でも、隣にいる男の子は違ったのだ。目をキラキラと輝かせていた。ああ、黄の暴力に屈してしまった目だ。

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わたしが住んだ街のおはなし(に)

 

 

母は夢の国の住民になりたかった。

絶対王者であり続ける東の都の近くに小さな小さな夢の国がある。お城を中心に栄えていて、火山と海と共存していて、老若男女が楽しめる夢の国に母は恋していた。そのため、年に一回は必ず北の国から夢の国へ3日間ほど入国しては遊んでいた。そのついでに東の都の観光もしてから帰国する。

東の都を訪れたときは、衝撃の連続だった。

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1日1時1分1秒

 

陽が沈むのがいつもより少し遅い気がする。もう16時すぎているのにまだ太陽が地上からいつもより高めに浮いていた。心なしかいつもより暖かい気がする。もちろん冬特有の寒さはある。あるけどどこかが暖かい。

そりゃそうだ、2月が終わるのにもう10日もいらないんだ。

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行列の割り込み、失礼します。

 

12歳のときに友人から「君は死んでしまうんだね」と突然言われた。

今から11年前、とある映画が上映された。それはとても話題になった。多すぎるから少し数を減らしますという理由だけで「全国の佐藤さん」が次々と殺されていく内容だった。それは映画の中だけではなく現実にも持ち出されるようになった。

わたしが生まれた家の苗字がたまたま「佐藤」だった。

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