「カニクリームコロッケ」夢で逢いましょう

どうして僕はこんなにもカニクリームコロッケのことが好きなのだ。

初めて疑問に感じたのは小学生の頃だった。どうして僕はカニクリームコロッケのことがすきなんだろう。不思議なんだけれど、僕は殆どの時間カニクリームコロッケについて忘れてしまっている。つまり、不意に誰かに「好きな食べ物は?」と訊かれると、真っ先に候補として頭に浮かぶのは焼肉とか寿司とか、いかにも「好きな食べ物」をしょって立つ食べ物たちなのである。その中にカニクリームコロッケの存在はない。なんとなく酒を飲みながらソファーで読書していると、ふと思いついたりするる。「そうだ、俺はカニクリームコロッケが好きなのだ」と。この世の中には「試着室で思い出したら本当の恋だと思う」という題名の書籍があるように、「読書をしながら思い出したら本当の好物」なのかもしれない。現に、僕は明日になったらカニクリームコロッケのことを忘れているだろう。それがどうしようもなく切なくなって、僕は急いでカニクリームコロッケについて文章を書いている。

僕がカニクリームコロッケに抱いた最初の疑問は「どうしてカニクリームコロッケという名前なのだろう」ということだ。誤解を恐れずに言おう。「お前さ、カニ、入ってる?」すみません、僕がどうしようもない馬鹿舌なのかもしれない。けれど、小学生から今に至るまで、いまだにこの疑問は未解決のままだ。先日、恐る恐る上司にカニクリームコロッケの話をした。もしかしたら僕が致命的な間違いを犯し続けているのかもしれない。と不安で眠れない日々が続いていたのだ。上司は「うん、カニクリームコロッケおいしいよな。よく作るよ」と何気なしに答えた。そして僕はこう続けた「カニクリームコロッケって、なんでカニなんでしょう」僕と上司の間に沈黙が生まれた。しばらくたって上司は「確かに、クリームコロッケでもいいよなあ」と言った。僕は胸をなでおろした。この世にカニクリームコロッケにカニが入っていない事実に違和感を持つ人が存在するのだ。

もしかすると、我々がカニクリームコロッケの真理に達する日は永久に訪れないのかもしれない。研究機関に潤沢な資金が投資され、日々研究分野の細分化が加速する現代において、なんの変哲のないお惣菜の謎が解明されないままにあるのだ。あるいは僕たちが寝ている間に魔法使いが頭からカニクリームコロッケの記憶を抜き取っているのかもしれない。僕は魔法使いがよなよな頭に杖をつきつけて記憶を引き抜く姿を想像した。カニクリームコロッケの記憶は白く糸状になっていて、水に浸すと散り散りにほどけてしまうのだ。(よしだ)

夢で逢いましょう「カニクリームコロッケ」

わたしが住んだ街のおはなし(さん)

 

 

「こんな広いひまわり畑、僕の街には無いんだよ!」太陽が遙か彼方に居座っていてわたしたちを見下していた。辺り一面、緑、茶、青、白、灰しかなかったのに歩いてると突然、黄の絨毯が現れたのだ。終わりが見えないほど果てまで広がる黄の暴力をわたしたちの目に受けた。

感動という言葉さえも生まれないほどにわたしはこの景色を見飽きていた。でも、隣にいる男の子は違ったのだ。目をキラキラと輝かせていた。ああ、黄の暴力に屈してしまった目だ。

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女を抱くのにコスパのいい筋肉は? 筋肉聖也とよしだ

 

今日は筋肉聖也くんにパーソナルトレーナーになってもらい筋トレをしてきました。

筋肉日記20190225

筋肉君はわりと理性的な文章をかいていたので、僕は直感的というかおよそ再現可能性の低いものを書いていこうと思う。

今日学んだこと。
「女を抱くのにコスパのいい筋肉について」

筋トレを初めて真っ先にたずねたことは「で、女性はどこの筋肉が好きなの」ということだった。別に自分のために筋トレしたいというよりかは、女性にもてるためだけに筋トレをするつもりだったので、あらかじめ筋肉に訊いてみたのだ。

「あのね、事前か事後で必要なものが違う」
「ほう」
「事後の話をすると、いちばん人気があるのは腕だね」
「厚い胸板に顔をうずめたい女の子とかいないの?」
「胸筋も大事だけれど、意外と好かれない。腕の筋肉があればピロートークに花がさくよ」
「なるほど。僕は腹のぜい肉や薄毛をもてあそばれることが多いので羨ましい」

期せずしてフランシスベーコンになったよしだ。
けっこう似ててワロタ。

「事前に好かれる筋肉はなにでしょうか」
「これは俺の価値観だけれど、事前に筋肉が目立つのはすきじゃない。明らかに筋トレしてるな。と他人に思われたくないんだよね」
「他人に筋トレしてると思われたくないけど、こそこそ週4で筋トレしてるの?」
「うん」
「精神構造の歪みがみられる、、、」

「話をもどすと、やっぱり筋肉は脱いだ後のギャップに使いたいんだよ」
「てことは筋肉鍛えても女性からもてないので、やっぱり内面と社交性が重要なのかな」
「かもね。女性に抱かれたくない。と拒否される体型じゃないことが重要」
「僕はぎりぎりセーフなんだね、、、」
「かぎりなくアウトに近いセーフだろ」
「はい、、、、」

パンプアップを終えて腹筋を見せつけるよしだ。

「さっきギャップで女性を抱くという話がありましたが、僕は肥満体型じゃないですか。てなると、逆ギャップが起こるんですよ。こいつ意外とぽっちゃりしてんな。ていうさ」
「女の子ドン引きしてるんじゃない?」
「それが不思議と、腹のぜい肉をもてあそんで楽しんでる傾向にあるので、もしかするとぜい肉にもポテンシャルがあるのかもしれません」
「言い逃れをするな。デブ」

というインタビューというか大学生の居酒屋話をしつつ筋トレをしました。正直な話、筋トレについての非常に実用的な話を聞き、学びが多かったです。特に自分に不足していたなと感じるのは、最後の追い込み方。精神的な話ではなく、負荷の下げ方について技術的な話を聞きました。今後も筋肉から学んだことを記録していこうと思います。

今日も読んでくれてありがとう。「女を抱くにはギャップを見せる」「ピロートークは腕の筋肉が有効」ということでした。素晴らしい学び。

わたしが住んだ街のおはなし(に)

 

 

母は夢の国の住民になりたかった。

絶対王者であり続ける東の都の近くに小さな小さな夢の国がある。お城を中心に栄えていて、火山と海と共存していて、老若男女が楽しめる夢の国に母は恋していた。そのため、年に一回は必ず北の国から夢の国へ3日間ほど入国しては遊んでいた。そのついでに東の都の観光もしてから帰国する。

東の都を訪れたときは、衝撃の連続だった。

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