よしださんは、よしださんの記憶と経験から言葉を引き出して、私の前に置いてくれた。私に本を渡してくれた。
反応の薄い私に、それでも話し続けてくれたのは、本当にありがとうと、思っています。よしださんのお陰で私の心はとても救われました。 “自分を知りたい” の続きを読む
うっすら
雪の積もったメタセコイアの枝に
ノスリが1羽とまっている。
ノスリはレモン色の目で白い地面をにらみながら
食べ物を探していた。日は暮れていてうさぎもりすも
いない。ノスリはおなかを空かせていた。
翼をぴったりたたんで今日も冷たい風に耐えている。
話し相手募集中
半関心
『アヒルと鴨のコインロッカー』に出てくる河崎は、片っ端から女性に声をかけてホテルに連れて行こうとする。それを生きがいとしている、変わった人物だ。
誰かれ構わずセックスに誘いたいなんて決して理解できないだろう、そう思っていた。 “半関心” の続きを読む
ピアノを弾く②
聞こえると聞こえないの間
人間らしくなれ
発見
庭
ドアを開けて物干し竿の方を確かめると、もうすでに洗濯物は取り込まれたあとだった。ばーちゃんだな、と私は思う。
そのまま家に引っ込む代わりに、私はその場に腰を下ろした。ここは庭。芝生ではないけれど、座っていても誰も文句は言わないし。 “庭” の続きを読む
文章が生まれてくるところ
窓の外に皇帝ダリアが見える。ちょうど向かいにある車庫の屋根と同じくらいの高さだ。10月の日差しを受けて、緑色をした幹はまっすぐ空へ向かって伸びている。
もう少し寒くなると、「皇帝」の名にふさわしい気品を兼ね備えた、堂々たる、薄紫の花をつけるはずだ。 “文章が生まれてくるところ” の続きを読む