マイ・アミダニョライ

外から帰って、座敷にバタンと寝転がった。畳から舞った細かい塵が、廊下から差し込む光を浴びてきらきらしていた。綺麗だった。嬉しくなって、転がったまま足でパタパタ畳を叩いた。小さい光の粒がはらはらと降ってくるみたいだった。仏壇の上の阿弥陀如来が、それを黙ってじっと見ていた。阿弥陀如来は目を瞑っていると思っていた。よくよく見たら、実は半目だった。 “マイ・アミダニョライ” の続きを読む

想像力が窮地を救う

今日初めて場面指導を練習した。

まずテーマが出される。「明日は生徒の楽しみにしている野外行事があります。帰りのSTで担任としてどんな話をしますか?」

30秒考える時間があって私は椅子から立ち上がった。
「明日は火力発電所への見学に行きます。みんな楽しみにしていると思います。楽しみだよね?」

私の視線は架空の生徒を探してうろうろさまようけれど、目の前に座っているのは眼鏡をかけた白髪混じりのおじいちゃん。試験官役をしている面接指導の先生だ。
私は必死でクラスの生徒30人を思い浮かべようとする。 “想像力が窮地を救う” の続きを読む

I’m old fashioned.

I’m old fashioned, I love the moonlight
I love the old fashioned things
The sound of rain upon my window pane
The starry song that April sings
This years fancies are passing fancies
But sighing sighs, holding hands
These my heart understands
I’m old fashioned but I don’t mind it
That’s how I want to be
As long as you agree
To stay old fashioned with me.

This years fancies are passing fancies
But sighing sighs, holding hands
these my heart understands
I’m old fashioned but I don’t mind it
That’s how I want to be
As long as you agree
To stay old fashioned with me

ジャズバーでぼんやりと訊いていたら、うっかり感動して泣いてしまった曲。当日は地元のジャズボーカル教室の発表会で、おっさんおばさんが一曲ずつ課題曲を歌いあげていった。およそ聞けたもんじゃなくて、僕は適度にお客さんの注文を受けつつ、スマホで本を読んでいた。

この曲は、70代ぐらいの細身で長身な男性が歌った。いかにも神経質そうな男性で、昼食時にえびとマッシュルームのアヒージョとバケットを頼むと、検査でもするいたいにバケットとアヒージョの具をながめて交互に食べていた。器のなかに一つだけミニトマトを残してして、僕は彼の器を回収する機会を遠くから終始うかがっていたのだ。

休憩のたびに、彼は眼鏡をかけると、手元に楽譜を用意してじっと眺めていた。思いついたようにペンで楽譜に何かを書き込んだりもしていた。彼は最後までミニトマトを食べる気配はなかった。

彼の番がまわってきて、細々と歌い始めたのが「I’m old fashioned」だった。原曲よりアップテンポでやけに景気がいい「I’m old fashioned」だったのだが、本人はついていけずにずいぶん苦しそうだった。けれど、必死に伴奏にしがみついて歌う姿に僕はスマホの画面から視線を彼に投げずにいられなかった。なぜ神経質そうな彼がこの曲を選んだのか、そうして意図的にアップテンポにしたのか、必死にくらいついて歌うのはなぜか。彼にとっての「as long as you agree」は誰なんだろうかと考えていたら、僕は他人事とは思えなくなってしまったのだ。

I’m old fashioned but I don’t mind it

僕も彼も、「俺はold fashionedだ!」と胸をはって生きたい。けれど気にしないことなんて無理なんだ。どれだけ自分で言い聞かせても、人の顔を伺ってしまう自分がいるし、不安を覚えない日はない。この曲は、良い大人が、弱い自分をひたすら奮い立たせるための曲なのだ。

That’s how I want to be
As long as you agree
To stay old fashioned with me

こんなん泣いてしまうやろ。僕もいつも自分を奮い立たせている。おっさん、あんたもいい年してなかなかつれえなあ。

今日も読んでくれてありがとう。強がりじゃなく、I dont mind itって言える日が来るかなあ。なあ、おっさん。

最強の組織の作り方。と僕。

 

最強の組織の作り方をたまに考える。

どうも信念のようなものを持ち続ける必要があるようだ。
先日「帰ってきたヒトラー」という映画を観た。ヒトラーが現代のベルリンにタイムワープして現れると人々はどんな反応をするかという内容の映画だ。結果を言うと、ヒトラーは現代でも莫大な支持を得て、多くの人々を統括し始める。彼の力は普遍的なモノだった。

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ジャズバーと薄っぺらい言葉について。

 

こんばんは、よしだじゅんやです。

昨日は久しぶりにお酒を飲んだ。お酒を飲みたかったのでなくて、久しぶりに酒を作りたくなったのだ。冷蔵庫を確認するとまだ封が空いていないウィルキンソンのソーダ水があった。そしてハーフボトルの角瓶が残っていた。僕は台所からマドラーと、ブラックニッカのマークが入ったグラスを用意して、ハイボールを作り始めた。 “ジャズバーと薄っぺらい言葉について。” の続きを読む

天邪鬼

小さい頃、ピンクが嫌いな色だった。友達はみんなピンクが好きだと言うから、私はピンクを選びたくなかった。ピンクを見ると私の心はひねくれてくる。
なぜみんなと同じものを選ばないといけないの?

ごめんななこ、はちまきは聖母マリアなんかじゃなかった。本当はひねくれていて頑固なんだ。
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