Дождевик

雨の日の日曜日の朝早く、お客さんは少なかった。静かなお店の中で、私ははたき片手に商品を並べ直す。まるで嵐の後だ。お菓子の棚は見事なまでにぐちゃぐちゃになっていた。昨日のあの忙しさを思えば、無理もない。
パートさんが「夜勤さん仕事してない。遊んでるんじゃないの」とぼやいてる。 “Дождевик” の続きを読む

よゆう

「とても落ち着いていたね」
実習中、先生方から頂いたコメントに、私は面食らってしまった。落ち着いていただなんて、全然そんなことない。
頭はいっぱいいっぱい。授業を進めるために、注意力の全てを総動員する。

実際は、色々やらかしてた。 “よゆう” の続きを読む

ロシア語メモ⑦ блинчики

部屋の中はもうずいぶん明るくなっていた。薄いカーテンが眩しさを多少は和らげてくれていても、日がすっかり昇ってしまっていることは隠しきれない。

おいしそうな匂いがしてきて、目が覚めてしまった。夢の中で誰かによく似た声を聞いた気がするけど、今となってはもう思い出せなくなっていた。
とりあえず、朝ごはんだ。顔を洗ってキッチンを覗くと、予想通りルームメイトがブリンチキを焼いていた。フライパンを使って器用にクレープ生地をひっくり返す。

ルームメイトは私に気づくと、焼きたてのブリンチキを差し出した。
「おはよう、ブリンチキ焼けてるよ。ほらこれ、1枚目」 “ロシア語メモ⑦ блинчики” の続きを読む

ロシア語メモ⑥ замёрзнуть

目を開けて時計を確かめると7:30を指していた。ああ眠い。でも起きなければ。
着替えと朝食をすませると、分厚く重いコートに袖を通した。鏡の中に映る自分の姿を確かめる。目以外はすべてマフラーと帽子と手袋にしっかり隠されている。
さあ、準備万端だ。重い寮のドアを開け、私は外へと踏み出した。 “ロシア語メモ⑥ замёрзнуть” の続きを読む